瀬島五月&アンドリュー・エルフィンストン主演、山本康介版『ライモンダ』──バレエカンパニーウエストジャパン
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ワールドレポート/大阪・名古屋
すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna
バレエカンパニーウエストジャパン
『ライモンダ』山本康介:改訂演出・補足振付
5回目を迎えたバレエカンパニーウエストジャパン公演の演目は『ライモンダ』全幕。山本康介の振付で、現代人にとって冗長に感じられそうな部分は廃し、物語をすっきりと伝わるように工夫、踊りの見せ場を際立たせた。音楽は冨田実里指揮、神戸フィルハーモニック。
つくづく感じたのは、実力があり意識も高いダンサーが、群舞の隅々まで揃っていること。最初、第1回の公演では "寄せ集め" のようだったかも知れない、オーディションで選ばれたダンサーたちが、入れ替わりもありつつ、年々、"カンパニー"として息が合う、そんな結束を強めているように見える。もちろん、"良きライバル"といった面も含めて、良いカンパニーとして回を重ねているように見えるのが頼もしい。特に女性、大久保彩香、佐々木夢奈、石本晴子、吉田裕香といったダンサーが、良き場を得たようで、年々、見応えを増すダンサーに成長している様子。
ライモンダ:瀬島五月、ジャン・ド・ブリエンヌ:アンドリュー・エルフィンストン
撮影:文元克香(テス大阪)
ライモンダ:瀬島五月、アブデラフマン:厚地康雄
撮影:田中 聡(テス大阪)
今回、主役・ライモンダを踊ったのは代表の瀬島五月。このカンパニーは彼女が代表でも、主役を他のダンサーに任せることが多いが、今回は主役。存在感強く最初から物語に入り込み、観客を引き込んだ。ただ、1幕、2幕は、もう少し "自ら運命を変えることが難しい弱い存在"といった風情が強調されても良かったかもしれない。3幕は、さすがに素晴らしかった。凜とぶれない立ち姿、しっかりとした意志を持った視線、その強い気迫に圧倒され、目が離せなかった。
ジャン・ド・ブリエンヌは、公私ともにパートナーであるアンドリュー・エルフィンストンで気品を持って堂々と。アブデラフマンの厚地康雄がワイルドでシャープに悪役の格好良さをしっかりと出していたのも見逃せない。また、グラン・パ8カップルのソリストも高レベルで、圧巻のクライマックスとして盛り上げた。
『ライモンダ』、物語として心を打つのは難しい演目かも知れない──あまりにもあっけないハッピーエンドがその原因だろうか。 もちろん、踊りの魅力は満喫した。
(2023年11月23日 神戸文化ホール大ホール)
ライモンダ:瀬島五月、アブデラフマン:厚地康雄
撮影:田中 聡(テス大阪)
ライモンダ:瀬島五月、ジャン・ド・ブリエンヌ:アンドリュー・エルフィンストン
撮影:田中 聡(テス大阪)
ライモンダ:瀬島五月、ジャン・ド・ブリエンヌ:アンドリュー・エルフィンストン
撮影:田中 聡(テス大阪)
ライモンダ:瀬島五月、ジャン・ド・ブリエンヌ:アンドリュー・エルフィンストン
撮影:文元克香(テス大阪)
ライモンダ:瀬島五月
撮影:田中 聡(テス大阪)
ライモンダ:瀬島五月、アブデラフマン:厚地康雄
撮影:田中 聡(テス大阪)
ライモンダ:瀬島五月、ジャン・ド・ブリエンヌ:アンドリュー・エルフィンストン 撮影:田中 聡(テス大阪)
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