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吉村 麻希 text by Maki Yoshimura 
[2016.10.11]
From Osaka -大阪-

豊かな表現力が織りなす、心躍る色鮮やかな舞台 --- iSバレエ 16th リサイタル

iSバレエ・アカデミア 16thリサイタル
『ごちそうさま』下森 瑞、大久保彩香:振付ほか

泉ポール、下森 瑞が主宰するiSバレエ・アカデミアの16回目となるリサイタル公演。現在、ウィーン国立バレエ団でプリンシパルとして活躍する橋本清香をはじめ、国内外のコンクールなどで飛躍を見せる実力派のダンサーたちが輩出しているiSバレエ。技術の安定感に加え、各々の自然な演技や、表情の豊かさが随所に光り、ダンサーたちの個性や力量を尊重した指導が結実した舞台となった。

osaka1610c_01.jpg 『くるみ割り人形』 撮影/古都栄二(テス大阪)

1部は、初舞台でも物怖じせず、ひとりひとりが見せ場を踊りきった「iS天使のあいさつ」で幕開け。その後に続いた小品の数々でものびやかな踊りが光り、大久保彩香、アンドリュー・エルフィンストンの『海賊』よりグラン・パ・ド・ドゥ、川浪ともな・塚本士朗をはじめとする出演者たちによる『くるみ割り人形』からの抜粋と、華やかな舞台となった。

2部は『白鳥の湖』より第2幕。凛と羽撃つ腕の動きと、すっと羽ばたくような繊美な跳躍で観客を惹きつけたのはオデット役の白井貴子。ジークフリート役のアンドリュー・エルフィンストンの確実な技術、優美なサポートが一層の詩情をかき立てる。静かに彼らに寄り添う白鳥たちの整然とした群舞が、さらにこの悲恋の哀しさを印象づけた。

3部は下森瑞・大久保彩香の振付による創作バレエ『ごちそうさま』。オッフェンバック作曲の軽妙な音楽に乗せて、野菜が苦手な少年と、美味しく食べてもらおうと、野菜たちと力を合わせ、あの手この手で奮闘するママの物語。仕事も子育ても完璧にこなしてきたという自負のある母親が、なす術がない “ 子どもの好き嫌い” に、敢然と立ち向かう様子を、ママ役の竹中久美子を中心に、色とりどりの野菜たちや食材たちがコミカルな演技と、軽快で弾むような踊りで好演した。幼い小さな生徒たちにも、役を理解した心の表現ができるようにと続けてきたという創作バレエ。表情豊かに、大舞台いっぱいに弾けるように踊り、物語を作り上げる生徒たちの姿に、泉ポール、下森 瑞をはじめとする指導者たちのその信念と、深い愛情を感じた。
(2016年8月21日  兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール)

osaka1610c_02.jpg 『白鳥の湖』アンドリュー・エルフィンストン、白井貴子
撮影/古都栄二(テス大阪)
osaka1610c_03.jpg 『白鳥の湖』白井貴子、アンドリュー・エルフィンストン
撮影/古都栄二(テス大阪)
osaka1610c_04.jpg 『ごちそうさま』竹中久美子、塚本士朗
撮影/テス大阪
osaka1610c_05.jpg 『ごちそうさま』竹中久美子
撮影/古都栄二(テス大阪)