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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2016.10.11]

今、観ることで心に響いたラリオ・エクソン振付の『母の歌 A'Mother's Song』ほか、貞松・浜田バレエ団

貞松・浜田バレエ団「創作リサイタル28」
『ピアノ・ブギ・ウギ』貞松正一郎;振付、『TWO』中村恩恵;振付、『Memoryhouse』森優貴;振付、『母の歌 A’Mother’s Song』ラリオ・エクソン;振付

今年の貞松・浜田バレエ団「創作リサイタル」は4演目、すべて再演ものだった。新作もいいけれど、再演というのも磨かれる良さがある。やはり、作品というものは、上演を重ねて磨かれてこそ、さらに良くなっていく。そして、また、今回、18年を経て再演されたラリオ・エクソン振付『母の歌 A’Mother’s Song』には、“今”だからこその意味を感じた。

osaka1610b_2358.jpg 『母の歌 A Mother's Song』廣岡奈美
撮影:金原優美(テス大阪)

最後に上演されたのが、このラリオ・エクソン振付『母の歌 A’Mother’s Song』。戦争によって命を落とした青年(幸村恢麟)と、その母(川﨑麻衣)の嘆き。18年前に「ひょうごインビテーショナル」という兵庫県が海外の優れた青少年団体を招聘するという企画でマルセイユのローラン・プティ・バレエ学校が招かれた折、貞松・浜田バレエ団のダンサーたちがともに出演した縁があり、そこで上演された作品がレパートリーとなった。ちなみに、18年前には、吉田朱里が母を、秋定信哉が青年を踊ったと聞く。
今回、幸村が高い身体能力を活かし青年を好演。そして母役の川﨑の踊りには、全身から悲痛な、叫ぶような悲しみが溢れていた。彼女は感じて、それを表現できるダンサーだと、つくづく思った。加えて群舞も迫力が素晴らしかった。廣岡奈美を中心とした女性ダンサーたちの意志を持った群舞。このバレエ団は、主役を踊れるダンサーたちが群舞でも力を発揮する、だからこそなのだろう。
最初に上演された、音の妖精が楽しく踊っているような貞松正一郎振付『ピアノ・ブギ・ウギ』の、大人数で男女が混ざっていても息のあったレベルの高い群舞もこのバレエ団だからこそ。また、続いて、小田綾香と堤悠輔が踊った中村恩恵振付『TWO』は、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第14番に乗せたコンテンポラリー。作品に流れる無常観、無力感が、西洋の舞踊で表しているのだけれど、どこか東洋的なものも感じさせて素晴らしく、心にしみた。森優貴振付『Memoryhouse』も、実力派ダンサーたちによって、見応えのあるものに仕上がっていた。
(2016年9月10日 神戸文化ホール中ホール)

osaka1610b_0477.jpg 『TWO』小田綾香、堤悠輔
撮影:金原優美(テス大阪)
osaka1610b_0757.jpg 『Memory house』貞松正一郎、大江陽子
撮影:金原優美(テス大阪)
osaka1610b_1038.jpg 『母の歌 A Mother's Song』
青年:幸村恢麟
撮影:金原優美(テス大阪)
osaka1610b_1058.jpg 『母の歌 A Mother's Song』母:川﨑麻衣
撮影:岡村昌夫(テス大阪)
osaka1610b_0915.jpg 『Memory house』貞松正一郎、佐々木優希
撮影:岡村昌夫(テス大阪)
osaka1610b_0479.jpg 『TWO』小田綾香、堤悠輔
撮影:岡村昌夫(テス大阪)
osaka1610b_2004.jpg 『ピアノ・ブギ・ウギ』
撮影:金原優美(テス大阪)
osaka1610b_0268.jpg 『ピアノ・ブギ・ウギ』上村未香、貞松正一郎
撮影:岡村昌夫(テス大阪)
osaka1610b_0314.jpg 『ピアノ・ブギ・ウギ』
撮影:金原優美(テス大阪)