ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From Osaka Nagoya <大阪・名古屋>: 最新の記事

From Osaka Nagoya <大阪・名古屋>: 月別アーカイブ

すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2012.02.10]
From Osaka -大阪-

女性6人が踊った矢上恵子5年越しの新作と有馬えり子の『くるみ割り人形』

振付:矢上恵子『Cheminer(シュミネ)』有馬えり子『くるみ割り人形』
有馬龍子バレエ団
osaka1202a0159.jpg 撮影:岡村昌夫(テス大阪)

有馬龍子バレエ団の12月の公演では『くるみ割り人形』だけではなくて、もうひとつ、印象に残る演目が上演された。それは矢上恵子振付の『Cheminer(シュミネ)』。実は5年前に創り始められていたこの作品、矢上が大病を患ったため中断し、退院してから仕上げたという。矢上自身とともに6人の女性ダンサー(吉岡ちとせ、福谷葉子、藤川雅子、高橋瑶子、小倉彩加、伊達千代)がラヴェルのボレロの曲で踊った。
“Cheminer”という言葉はフランス語で、“道をたどる”、“歩む”、“進む”、“進展する”といった意味。病やさまざまなことがあるけれど、人生を歩むといった想いが込められているようで、それを矢上と同姓のダンサーたちがともに踊ることで、それぞれの人生への真摯な想いが見えるような気がした。ちなみに、これは矢上が佐々木大に振付けた作品『Daia』の女性版ともされているようだが、もちろん振りが違うだけでなく、伝わってくるものもだいぶ違う。しみじみと観た。

osaka1202a0919.jpg 撮影:正路隆文(テス大阪)

そして後半は、クリスマスらしく『くるみ割り人形』。第1幕第1場で子役のクララを踊った西村実真は、いきいきとした可愛らしい笑顔で物語の世界に誘ってくれた。演出の特徴は、パーティのドロッセルマイヤーの手品で登場する中国人形(恵谷彰)、コロンビーヌ(小寺彩耶子)、スペイン人形(秋定信哉)が、2幕のディベルティスマンでも、その衣裳のままでその役を踊る。クララの夢のなかに、パーティの楽しさがそのまま表れているようで、うなずけるつくりだと感じた。
第1幕2場からのクララは藤川雅子。以前よりスラッと美しいラインを見せるようになり、やわらかくしなるような動きが素晴らしい。大人っぽい緩急のある踊りでありながら、素直な子供のような表情を見せて、クララによく合うダンサーだと感じた。くるみ割り王子は佐々木大、空中での脚のラインが目に焼き付く美しさでノーブルな魅力もある。
他のソリストも充実していた。例えば、スペイン人形で秋定信哉をパートナーに、いつもとはまた違う魅力を見せてくれた吉岡ちとせ。小柄で可愛らしくていねいな動きが印象的な彼女が、こういったタイプの役を踊るのは珍しい気がするが、小気味良い踊りに仕上がっていた。アラビア人形の八尾沙耶香は恵まれた体型で柔らかい動き、輝くような美しさも。
全体に童話の世界を誰にでも分かりやすく楽しませてくれる作品に仕上がっていた。
(2011年12月18日 京都会館第1ホール)

osaka1202a0374.jpg 撮影:岡林昌夫(テス大阪) osaka1202a8027.jpg 撮影:岡村昌夫(テス大阪)
osaka1202a0665.jpg 撮影:正路隆文(テス大阪) osaka1202a0808.jpg 撮影:岡村昌夫(テス大阪)
osaka1202a0968.jpg 撮影:岡村昌夫(テス大阪) osaka1202a1239.jpg 撮影:岡村昌夫(テス大阪)