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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2011.03.10]
From Osaka -大阪-

フレッシュな『パキータ』演技力が楽しい『卒業舞踏会』バレエ協会公演

改訂振付:橘照代『パキータ』、指導:早川惠美子、石川惠己『卒業舞踏会』
日本バレエ協会関西支部

38回目を迎えたバレエ協会関西支部主催のバレエ芸術劇場、毎年1度、この季節に行われている。思えば、私が子どもの頃にバレエを習い始めて、初めて発表会ではなく公演と呼ばれる舞台を観たのもこの公演だった。今年の演目は『パキータ』&『卒業舞踏会』。

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橘照代が改訂振付した『パキータ』は、子供たちによる「ポロネーズとマズルカ」から。整然と並んだ子供たちの踊りは、ロシアのバレエ学校公演を思わせる雰囲気。「グラン・パ」に入ってのコール・ド・バレエも、とてもよく揃っており、バレエ協会の先生方の指導の成果を感じる。
パ・ド・トロワは、末吉加奈、山下摩耶、張縁睿の3人で。3人とも美しく足の甲が出ていて良い。山下摩耶、張縁睿の2人については、既に様々な舞台での主要な役を観ており、その実力は常々感じているが、今回、このなかでおそらく若く、フレッシュな輝くようなものを感じさせてくれたのが末吉加奈。今後の成長が楽しみだ。

また、5つのヴァリエーションは、安積瑠璃子、磯貝麗、逸見澄子、長尾美花、平林万里で、それぞれ個性を活かして良い踊りを見せてくれた。特に印象に残っているのは2人。第2ヴァリエーションを丁寧に、第3アラベスクにもそれぞれメリハリつけながらやさしく踊った逸見澄子。彼女は最近、キャラクター的な役で眼を引いていたが、こんなに優しく踊ることが出来る人なんだとあらためて。そして、第5ヴァリエーションの安積瑠璃子が長身を活かして大きく飛ぶなどダイナミックな踊りで眼を釘付けに。主役、パキータ&リュシアンは、楠本理江香&青木崇。楠本の存在感たっぷりの華やかな踊り、青木のひねりも入れた驚く回転技などの高度なテクニックに会場は大いに盛り上がった。

後半は、早川惠美子を指導に招き、石川惠己とともに仕上げた『卒業舞踏会』。関西にも演技が達者で個性溢れるダンサーがたくさんいるのだということをあらためて認識した舞台になった。
まず、即興ダンス第1ソロの谷吹知早斗と即興ダンス第2ソロの前田奈美甫の対比が良い。前田の優等生で可愛いキャラクターに対し、谷吹のコミカルで笑いを誘うキャラクターが際だつ。もちろん、2人とも、踊りの技術レベルも高い。他に、シルフィード&スコットランド人で正統派クラシックバレエの魅力をかいまみせた松本真由美と山口章、高いテクニックを遺憾なく発揮した大野嘉子と河野美沙のフェッテ競争など、それぞれの場面がどれも楽しめるものに仕上がっていた。
そして最後は、女学院校長(樫野隆幸)と老将軍(小原孝司)の恋になんだか微笑ましい気分になる。いくつになっても恋はするのだ。夜に逢い引きしようとした生徒が優等生2人だった場面も自然で「世の中、そんなものかも?」と微笑みが湧いた。
(2011年1月30日 大阪国際会議場メインホール〈グランキューブ大阪〉)

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撮影:岡村昌夫、田中聡、金原優美(テス大阪)
※それぞれの詳細、撮影クレジットは、画像をクリックし拡大写真にてご覧ください。