ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2010.10.12]
From Osaka -大阪-

現代舞踊協会『スペシャルダンスセレクションinひょうご』

現代舞踊フェスティバル
社団法人現代舞踊協会
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これまで毎年、東京で開催されてきた現代舞踊協会の主要行事「現代舞踊フェスティバル」が、第31回目を迎える今回企画を新たにし、今後は全国各地を巡って開催していくことになったという。その第1回目が兵庫のこの舞台。全国各地から12団体が出演して盛大に行われた。
幕開けは、愛知・中部支部、佐藤小夜子の『Polka』。始まると、可愛らしくチュールに包まれたプレゼントのパッケージのようなものが舞台にズラッと並んでいる。何かな?と思うと、脚が出て……スカートにくるまったダンサーたちだった。そこからユニークで楽しい踊りが繰り広げられる。気負わないポジティブな姿勢を感じた。

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続いては、太鼓のリズムでアフリカンな香りも感じた秋田・東北支部の秋田スペシャル舞踊集団、奥村信子振付の『回廊の彩』。
そして、札幌・北海道支部の神田ゆず振付『お葬式─死体にもらった素敵な時間』は、ペアで交替で死体になりあうなど独特の感性が印象に残る作品。
京都・関西支部からは石原完二振付の『沈黙の叫び─沈黙の叫びは夜への旅路、重い時間が積ってゆく─』。角度によってだろうか、さまざまな表情に見える仮面、追い詰められる苦しみの中にいる男──沈黙のなかで声なく叫ぶ、その状況についてふと思いを巡らせた。
山口・中国支部からは加藤燿子振付の『或る聖者の逸話』。小鳥たちに向かってまでも説教を続けたという聖フランシスの一場面をスケッチ風にした作品で、清貧の聖者と女性達が優しい視線で描かれていた。
この舞台で特に印象に残ったひとつが埼玉・東京支部の若松美黄振付『ぶらぶらダンス2010』。若松自身が踊るひょうひょうとしたスーツの男がなんとも言えない良い感じの脱力感を持っていて、どんどん舞台に引きこまれる。歌詞やセリフも使って表現されるのは私たちが生きるこの現代の社会そのもの、それを美化するでも貶めるでもなく表していることに好感を持った。最後の「仕事あるかなぁ」のセリフもいい。

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休憩を挟んで次に上演されたのは地元兵庫・関西支部の加藤きよ子振付による『消えよ、動きやまぬ影たちよ』。様々な感情が流れるような動きで表現される、振付も踊りも洗練されていることを感じた。
次の愛知・中部支部、倉知可英振付『innermost』は、本人によるソロ。自らのもっとも奥に向き合い、もがく迫力に引きこまれた。
富山・北陸支部の水島晃太郎『遠い夜の海鳴り─還らぬ魂へ─』(振付:和田朝子、和田伊通子)は、とにかくまだ若く伸び盛りであることが一目で分かる水島の踊りが良い。軽さもあり、よく伸びる身体、良い成長を期待したい。
東京・東京支部からの内田香自作自演『echo』は、現代の女の子の素朴な部分を上手く表現した作品で、ちょっと動物的な魅力も感じさせ、身体の表現力もさすがだ。
神奈川・東京支部からの井上恵美子振付『月を浴びる』は、シャボン玉の巨大なもののように見える大きな黄色いビニールボールを使って、さまざまなタイプの動きを組み合わせて見せた。
最後は、地元兵庫から特別参加の貞松・浜田バレエ団『羽の鎖』。同バレエ団の森優貴振付で女性ダンサーたちが踊り、平成19年度の文化庁芸術祭新人賞を受賞した作品だ。女性が抱えがちなさまざまなことに優しく向き合う祈るような踊りは何度観ても良い。ピュアなダンスに気持ちが洗われるような気がし、心地よい気分で劇場を後にした。
(2010年8月21日 兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール)

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撮影:古都栄二 / 岡村昌夫(テス大阪)
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