ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2009.11.10]
From Osaka -大阪-

瀬島五月とエルフィンストンが踊った貞松・浜田バレエ団『ジゼル』

貞松正一郎:演出・振付『ジゼル』
貞松・浜田バレエ団
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幕開けのシーンは夜明け間近、まだ暗めの時間。アルブレヒト(アンドリュー・エルフィンストン)とウィルフリード(玉那覇雄介)の登場 から始まる。ここから2幕ラスト、同じように夜明けの時間までの物語が描かれるわけだ。貞松正一郎の演出は、このことからも分かるように『ジゼル』のオーソドックスな物語に忠実に、丁寧に細かな工夫を凝らしながら創り込まれているように見える。

そして、とにかくダンサーたちが良い。主役2人は、この4月に赤ちゃんが生まれたばかりのカップル、瀬島五月とアンドリュー・エルフィンストン。しかしまったく、そのことによるブランクは感じさせない。ほとんどバレエを休んではいない様子。まずジゼル、表情が自然にクルクル変わり、狂乱の場では本当に狂っているよう──瀬島は、いつ観てもその役に入り込めるダンサーだと思う。2幕でも、出の鮮やかな回転に始まりテクニックに不安がなく凜として、気持ちを客席に存分にぶつけるよう……素晴らしい表現力を持っていることをつくづく感じた。アルブレヒト(ロイス)のアンドリュー・エルフィンストンも無邪気な1幕からノーブルな2幕へと、自然で魅力的な踊り。

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脇で特に素晴らしかったのが、ミルタの廣岡奈美。彼女のジュテなどジャンプは、他の演目でもトゥ・シューズの着地音がほとんど聞こえない鮮やかなもので、とても大きく素晴らしい。大きなジャンプの多いこの役で、それを存分に観せてくれただけでなく、堂々としてシャープ、威厳に溢れた素晴らしいミルタに仕上げていて強く印象に残った。他に、芦内雄二郎によるヒラリオンのベテランらしく落ち着いた演技、美しく気品がありバチルドがぴったりの竹中優花、ペザントのパ・ド・シス(正木志保、安原梨乃、半井聡子、武藤天華、弓場亮太、金子俊介)や、ドゥ・ウィリ(山口益加、武用宜子)も実力派揃いで、コール・ド・バレエも技術、気持ちともに揃ったレベルの高いものに仕上がって いた。
テクニックがしっかりしているから無心に役に入っていける──当たり前とえばあたり前だが、そのことを見終わってあらためて思った公演だった。
(2009年9月27日 アルカイックホール)

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撮影:岡村昌夫(テス大阪)
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