ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From Osaka Nagoya <大阪・名古屋>: 最新の記事

From Osaka Nagoya <大阪・名古屋>: 月別アーカイブ

桜井 多佳子 text by Takako Sakurai 
[2009.09.10]
From Osaka -大阪-

小嶋直也、松田敏子ほかのスターダンサーが集ったバレエスーパーガラ

バレエコレクション2009 in OSAKA
バレエスーパーガラ
MRB(松田敏子リラクゼーションバレエ)主催

MRB主宰の松田敏子が演出・企画制作・プロデュース、漆原宏樹が芸術監督をつとめるガラ公演。11回目の今年は、全体レベルが高く、例年以上に見ごたえがあった。

オープニングは、『パキータ』。コールド、ソリストは、所属団体を越えた混成チームだったがまとまりがあった。中心を踊ったのは、公演主催者である松田敏子と小嶋直也。終始にこやかな松田からは、踊りに対する一途な気持ちが伝わってきた。小嶋は、さすがの端正な演技。ジャンプの美しさ、きれいに伸びたつま先などすべてがお手本のようで、加えて、「見せ方」にベテランならではの余裕も感じさせた。
英国ロイヤル・バレエ団ソリストの平野亮一を久々に地元で見ることができたのは収穫。福谷葉子と踊った『ゼンツァーノの花祭り』は、テクニック云々よりも、そのマナーの良さに感心した。新国立劇場バレエ団の福田圭吾は『エスメラルダ』からヴァリエーションをチャーミングに踊っていた。
見事なコンクール歴を持ちながら、ここ数年、なぜか実力を存分に発揮できない様子だった田中ルリが、師である原田高博の安心感あふれるサポートを得て、『白鳥の湖』で素晴らしい演技を見せた。身体が完全にコントロール出来ていて、ラインの美しさを際立たせた。情感たっぷりのオデットだった。
関西が誇る男性ダンサーの一人、恵谷彰は、楠本理江香とともに『バラの精』を披露した。バラの精」は、演じるダンサーによって、セクシーになったり、グロテスクに近くなったりもするが、恵谷の正確極まるテクニックは、どこまでも無垢で清潔な「バラの精」像を作り上げていた。楠本が演じた少女は品良く、温かみを感じさせた。血の通った人間である少女と、人間ではない「バラの精」。そのくっきりとしたコントラストが、ドラマ性を高めていた。
的場涼香と沖潮隆之の『ドン・キホーテ』の後は、野間景の『Room』(中村恩恵振付)。昨年秋、野間バレエ団はこの作品で文化庁芸術祭優秀賞を受けている。ただ、そのときは、野間と中村のデュエットだったが今回はソロ。そのためか作品の印象も随分違っていた。孤独でも孤高でもないが、潔く一人で自然に生きている女性。成熟した自立とでも言おうか、そこには、しなやかな意思も感じさせた。どうしても子供ぽく見えがちなバレリーナが多い中、野間は、大人の女性を描くことができる稀有なダンサーだ。
第一部の最後を飾ったのは、吉田千智と福岡雄大。10月に、新国立劇場バレエ団『ドン・キホーテ』で主役デビューすることが決定している福岡は、7月初めのソウル国際コンクールでも優勝を決めた『海賊』を伸びやかに、重厚に踊りきった。

第二部のオープニングは、漆原振付の『レハールのワルツ』。女性12人が華やかに楽しげに踊っていた。竹中優花&武藤天華の『ラ・シルフィード』、中野吉章の『パキータ』、谷吹知早斗&石川愉貴の『Violet-moon』、柳原麻子&法村圭緒の『アレルキナーダ』などが続いたあとは、初参加の田中祐子が自作『RAIN』を踊った。
法村珠里&山本隆之の『サタネラ』はなんとも鮮やか。珠里の明るさは、この作品に良く似合う。山本の紳士的なサポートも舞台に映えた。
ラストは、矢上恵子振付の『Ado』。矢上自身、福岡雄大、福田圭吾の三人のダンスは、とにかく迫力がある。いまがまさに旬の福岡と福田は、共演することで、ますます動きがシャープになっている。矢上は彼らに十分拮抗。いや、リズムが身体に入ったようなダンスは、彼女が先導しているよう。緊張感にあふれ、観客を引き付けていた。
フィナーレの小嶋のソロも凄まじく、アーティストとして円熟期にあることを強く印象づけていた。
(2009年8月2日、グランキューブ大阪 撮影:尾鼻文雄)

osaka0909a01.jpg osaka0909a02.jpg osaka0909a03.jpg osaka0909a04.jpg
 osaka0909a05.jpg  osaka0909a06.jpg  osaka0909a07.jpg