ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2009.03.10]
From Osaka -大阪-

タイプの違った5つのダンスを上演「ダンスの時間」

「ダンスの時間プロジェクト」vol.21
斉藤誠『木蓮沼』、関典子『刮眼人形』、阿比留修一『どうしようもないワタクシが踊っている2』、Yangjah『太陽の子 月の子』、碓井節子『めぐり めぐらす』

 2002年から、ダンサー&振付家のサイトウマコト、評論家の上念省三、演劇人の中立公平の共同プロデュースによって行われてきた『ダンスの時間』。今回のvol.21からは、上念省三を代表、LOXODONTABLACKディレクターの伏屋知加を副代表とする新体制での開催。
最初に上演されたのは、斉藤誠振付の『木蓮沼』、石澤富子の同名戯曲から想を得た作品だという。踊ったのは、4人のダンサー。MomoDiriMarbleの3人、紅を樋口未芳子、菊を丸井知世、麻を村上麻理絵と、青年将校役をサイトウマコト。決起を控えた恋人の青年将校を引きとめたいあまり、自分の小指を切り落として送りつけた娘、死罪と決まった男に突然乳房を食いちぎられた若い母親──など、独特の空気をまとった物語の空気が伝わる。迫力がありながら、おどろおどろしすぎないのは、真っ白のウェディング・ドレスや白無垢、青年将校の白タキシードといった衣裳の視覚的な効果のせいが大きいだろうか。 花嫁への憧れ、恋の成就への憧れをほんのりと薫らせつつ、怖いほどの生々しいものを描いたとても興味深い作品だった。
 

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次に上演された関典子の『刮眼人形』も印象に残る良い作品。“刮眼(かつがん)”とは聞きなれない言葉だが、“刮”は“えぐりとる”、“こする”といった意味で、目をこすってよく見ることを現しているという。舞踏家・和栗由紀夫とのデュオ作品『Labyrinth〜迷宮物語』の一部分を増補改訂したものだそう。パイプ椅子にととても可動域の広い関節で動く人形──関自身だ。見開く眼、うつろな眼と変わる様に引きこまれる。ぜひ、また機会があればもう一度観たいと思った。
3つ目は、セレノグラフィカの阿比留修一がソロで踊った『どうしようもないワタクシが踊っている2』。無音のなかで、素の自分と向かい合っている。フラメンコ・ギターで踊り出したり──しかし、いわゆるフラメンコとは明らかに違うこの人らしい踊り、脱力感が良い感じだった。
つづく4つ目、『太陽の子 月の子』。Yangjahが “太陽の子” としてダンスを、Jerry Gordonが “月の子” として音を受け持っての作品。赤い布を切ってとめただけのように見えるシンプルな衣裳のYangjah、即興的に思える踊り。心の素直さが感じられる気がした。
最後は、近畿大学文芸学部芸術学科舞台芸術専攻の卒業公演で上念が観て今回取り上げたもの。教員の碓井節子の作品を、学生の下村唯と村上真奈美が踊った。茶系のシンプルなウェアの男女がゆっくりとした歩みから始めるダンス。後半の2人の光のある眼、スピーディな踊りの迫力は確かに観客を引き込むものを持っていた。
(2009年1月31日 あべの ロクソドンタ ブラック)

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