ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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唐津 絵理 text by Eri Karatsu 
[2010.09.10]
From Nagoya -名古屋-

若手を積極的に起用した「バレエ21世紀公演No.14」

フレッシュバレリーナフェスティバル「バレエ21世紀公演No.14」
越智インターナショナルバレエ
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越智インターナショナルバレエが若手ダンサーの育成を目指してスタートした、フレッシュバレリーナフェスティバルも27回目を迎えた。この公演では、積極的に若手にパ・ド・ドゥや古典の演目からアンサンブルなどを踊る機会を与えているほか、コンテンポラリーや日本では上演されることの少ない小品を上演し、その点からも毎年どのような演目が上演されるのか注目している。
今年は19世紀半ばの名作『パ・ド・カトル』が、キエフ・バレエ団のプリマバレリーナとして活躍したタチアナ・タヤキナによって蘇った。グラーンは西澤真奈美、グリジは吉冨由見子(31日は数馬未乃里)、チェリートに伊藤麻梨子、タリオーニに太田由子(31日は藤本綾)が共演。当時のスターダンサーが互いへのライバル心と敬意をもって演じたという作品に相応しく、ダンサーとしての尊厳が振付の些細な部分からも感じ取れる。ロマンティック・バレエの伝統の重みと優雅さを楽しむことができた。
また小品ながら、優れた振付センスを感じさせたのが『海と真珠』。童話『せむしの仔馬』中の「海底の大国の場面」からのパ・ド・トロワで、海を久野直哉が、真珠を李栄喜(31日は渡辺梢)と吉冨由見子が演じた。
若さ溢れるリストやジャンプ、男性を生かした振付作品だと思ったら、なるほど故・コフトンが越智友則のために1997年に振付けた作品だということ。久野は未来の友則を彷彿とさせる伸びやかな肢体をもち、まだ荒削りではあるものの将来性を感じる存在感で、このまま伸び伸びと成長して欲しいと思った。
真珠役の2人の女性ダンサーも、コロコロと転がってく真珠を想起させるような回転や優雅かつコケティッシュな動きで、それぞれの見せ場を作った。

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今夏のファイナルは『ラ・バヤデール』より「パ・ダクシオン」。第2幕のガムザッティとソロルの婚約の宴から主役2人のパ・ド・ドゥをメインに披露した。
ガムザッティは越智久美子、ソロルは越智友則(31日はワディム・ソロマハ)。インドの文学を基にした物語らしく、エキゾティックな雰囲気が衣装やひとつひとつのポーズから表現される。ご存知の親子共演であるが、あまりに息の合った演技にさすがと圧倒された場面もあった。ソリストの藤本綾と佐藤紫帆も大人の踊りと演技で魅了し、主役のサポートを努めた。友則の気合いに満ちた迫力ある踊りと久美子の気高く落ち着いた雰囲気が、「ラ・バヤデール」という作品の持ち味を生かしていた。
(2010年7月30日 名古屋市芸術創造センター)

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撮影:テス大阪
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