ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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桜井多佳子 text by Takako Sakurai 
[2008.09.10]
From Osaka -大阪-

第50回記念、波多野バレエ研究所発表会

 江川幸一に師事した波多野澄子が兵庫県芦屋市に設立した研究所の発表会。50回記念として記念冊子(「波多野志美子バレエ研究所の50年」)も出版した。
 この発表会でもOBたちが大活躍。ジョン・クランコバレエ学校を経て、ドイツで活動後、現在、カナダのトロント・ダンスシアターで活躍している井上勇一郎が、Robert Glumbek振付の『Fragmented Memories』を踊った。

『オーロラの結婚』は、初舞台のような幼児たちも出演し、一生懸命踊っていた。可愛らしい彼女や彼らに祝福されるオーロラ姫とデジレ王子は、武市京子と河島真之。河島は、同研究所でバレエを始め、ボリショイ・バレエ学校を経て、国立ロシア・バレエ団で活躍、現在は、アメリカ・サラソタバレエ団のプリンシパルをつとめている。四国出身の武市も国立ロシア・バレエ団を経て、サラソタバレエ団プリンシパル。二人はこの夏、結婚式を挙げたばかりだ。
 武市はさすがに落ち着いた演技。アメリカで活躍するダンサーにありがちな雑さはなく、上半身の美しさはロシア仕込みといえるだろう。若いときから、そのスタイルのよさが日本だけでなくロシアの指導者たちにも注目されていた河島は、プロ・ダンサーらしい風格が身についてきた。時折、「やる気」が勝ちすぎるのか、バランスを失うこともあるのだが、それも不思議と彼の場合は愛嬌として映る。今後の飛躍が、まだまだ期待できるダンサーだ。

 深川秀夫作品『プラネット』(ロッシーニ音楽)は再演。可愛らしい「お星さま」から、また壮大な宇宙のイメージまで、様々な「惑星」を感じることができた。ラストは女性ダンサーが、まるで宙に向かって飛翔する。未来へ向けて大きな希望を感じさせた。

 グランド・フィナーレは、『ビートルズ・コンチェルト』。ビートルズの音楽にのって、舞台上手奥から下手手前まで、斜めにダンサーが歩いてゆく。大層な登場や、セレモニー的なお辞儀のないフィナーレの、なんとお洒落なこと。一人一人の姿や表情をじっくり見ることができ、こちらも心からの拍手を贈ることができた。最後に、波多野澄子が舞台に上がり、深川やダンサーたち、そして観客から喝采をあびていた。
(2008年8月8日、神戸文化大ホール)