ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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唐津 絵理 text by Eri Karatsu 
[2008.06.10]
From Nagoya -名古屋-

moniMonik

 『moniMonik』と題した、ダンサーとミュージシャンによるコラボレーション公演が開催された。コンテンポラリー・ダンサーのtomomiとフラメンコ・ダンサーの加藤おりはを中心としたダンサーと、それぞれのダンサーと交流の深いパーカッションやフラメンコ・ギターなどの多様なジャンルのアーティストによる公演ということで、どんな構成になっているのか、どのような共同制作が行われたのか、ということを考えながら会場に向かった。
 200席ほどのブラックホールの愛知県芸術劇場小ホールが会場となったが、舞台下手には多様な楽器を携えた音楽家たちが半円状に座っており、少し大きめのライブハウス会場にきているような感覚を覚えた。
 タイトルの『moniMonik』は、「ハーモニー」にちなんでいるとのこと。確かに、音楽の構成を軸にしてダンスがそこにどのように関わっているかということが意識された内容になっていたと思う。
 たとえば、タップ・ダンサーMIYOの踏み鳴らすリズムに次第にパーカッションが重なっていき、気がつけば、音楽とタップの音が一体となっていたり、加藤おりはのフラメンコ特有の手拍子が、そのままギターに繋がっていったり。音楽とフラメンコ、またタップダンスとパーカッション、そしてフラメンコとタップダンスの交歓が興味深く、ダンスと音楽はそれぞれにとって欠くべからず存在であること、いやそれ以上に、ひとつのものであることを感じる場面が多かった。

Sai加藤おりは加藤おりは

 フラメンコには音楽が不可欠だが、加藤おりはのフラメンコは、古典的なテクニックをベースにしながらも、そこだけには留まらず、モダンな動きを取り入れ即興的に展開させているようにみえる。ミュージシャンが幕間のトークで、コンテメンコと呼んでいたのには笑ってしまったが、加藤のソロをみると、それが正統派のフラメンコなのか、あるいは彼女のアレンジによるものなのか、そんなダンスの形式への問いは消えてしまう。そこには、自身と踊りが一体となったソロダンサーとしての存在感がある。祭礼の中で天と地とを繋ぐような、そんな原始的な踊りを髣髴とさせる、その根底には、やはり民族舞踊としてのフラメンコの精神があるのだろうか。

tomomitomomi


 一方、コンテンポラリー・ダンサーのtomomiとヴァイオリニストの高橋誠とのセッションでは、リズムよりもむしろメロディーラインに沿った叙情性が強調され、民族的な舞踊との対比が活きていた。
 コンテンポラリー・ダンスとフラメンコ・ダンサーたちのそれぞれのアンサンブル、tomomiとフラメンコ加藤おりはのソロ、2人によるデュオなど、オムニバース形式で進行する構成は、次々と変化する。それぞれの場面に、音楽もギター、バイオリン、パーカッション、歌とヴァラエティに富んでおり、彩り豊かな音色が響き渡った。
 また音楽のジャンルも様々で、特に、こうした公演に星蔵(ホシグラ)の2人組みがオリジナルで作詞・作曲したポップスを合わせることによって、難解で実験的にみえるこの手の公演が、癒し系のライブの様相を身に纏っていた。
(2008年5月6日 愛知県芸術劇場小ホール)

「moniMonik」
5月6日14時、18時
愛知県芸術劇場小ホール
ダンス:加藤おりは(フラメンコ)、tomomi(コンテンポラリー)、MIYO(タップ)、Sai(ジャズダンス)ほか
音楽:勝羽幸(カンテ)、高橋誠(バイオリン)、上遠野忍(ギター)、星蔵(歌・曲・演奏)、KID-CHANG(パーカッション)