ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2007.12.10]
From Osaka -大阪-

反戦を強く訴える舞台ダンスカンパニーディニオス秋期特別公演

 京都の渡辺ステージジャズセンターを拠点に活動するダンスカンパニーディニオス。1990年の結成以来、国内はもちろん、アメリカやヨーロッパ、インドネシアなどでも積極的に公演を行っている。振付は芸術監督の渡辺タカシ。
 今回の公演は、過去、現在、未来をテーマに、一貫して反戦、平和を訴えるものたった。
 1つ目は過去ーー「君死に給うことなかれ~魁けの歌人へ捧ぐ~」。与謝野晶子の詩を題材に、朗読やセリフも使って構成したもの。ダンサーたちの、女の強さが晶子の強さと重なる気がした。
 2つ目は現在ーー2007年カンパニーで訪れたヒロシマから『イルージョン(幻覚)~2007年・ヒロシマにて~』。現代の女性2人が広島駅に降り立つ、駅アナウンスが聞こえるシーンから始まる。女性が這いつくばって、地面の音を聞くと、原爆の映像がスクリーンに映し出される。もがき転がりながら踊る2人の動き。幻覚に、原爆にあった人たち、子どもまでもがあらわれる。朗読されるN.ヒクメットの詩『死んだ子ども』。「家々の窓をたたくのは私・・・」で始まる、原爆で死んでしまった少女の声を表した詩だ。「世界中の子どものためにあなたの力が必要です」で締めくくられるこの詩。作者の伝えたいことが、ハッキリと伝わってくるのだが、欲を言えば、あまりにも言葉で伝わりすぎでもったいない。せっかく、これだけ磨かれたダンサーたちがいるのだから、言葉で伝えきらず、動きで伝えると、より質の高いダンス作品にはなるのではないだろうか。
 3つ目は未来に向けて「And now・・・(そして今)」。全身肌色のウェアで、膝を曲げて前傾姿勢で舞台に現れる人が登場し、それからサングラスにドレスの女たちが現れる。迫力あるスピーディなダンス。争いや退廃ーーだろうか。そうではないものを望む意味でのラスト演目。全体にベテランダンサーが多く、経験を積んだからこそ出せるものを、きちんとした集中力の中でみせてくれるカンパニーだと感じた。
(11月17日 京都府立文化芸術会館)