ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2007.08.10]
From Osaka -大阪-

そごう劇場で行われた初のバレエ公演「Graceful ballet in SOGO Vol.1」

 そごう劇場ができて2年ほどになるが、バレエ公演が行われたのは今回が初めて。小劇場でバレエは難しいと考えられていたのがその理由だろう。確かにダンサーが4人、5人と並ぶ演目や男性ダンサーのジャンプなどでは、舞台の狭さが気になることもあったが、逆にソロの創作作品では、息づかいも聞こえる臨場感がいい。
 印象に残ったものをピックアップすると、まず、江川由華と河島真之の『バラの精』。少女の細かい表情までが客席に伝わり、河島は狭い舞台でのジャンプを、遠くへではなく高く飛ぶことで、大きさを見せるとともに音楽に合わせていた。竹中優花が踊った『あげひばり』は、アフリカの黒人奴隷が抑圧される中で生まれた曲に、加藤きよ子が振付けたもの。力を込めて止まるラストの腕から余韻が強く伝わってきた。森美香代振付『ソラとワタシをつなぐもの』を踊ったのは、今回のダンサーディレクションも行った西尾陸生。この人の魅力は、強い“想い”を表現する時に、より発揮できるようで、ここからは自然への畏怖のようなものが感じられるように思えた。
 

『眠りの森の美女』

『眠りの森の美女』よりグラン・パ・ド・ドゥは、河島真之と彼のフィアンセ武市京子。二人ともアメリカ・サラソタ・バレエのプリンシパルとして活躍する。ともに顔が小さくスラッとした見事なプロポーションだ。美しくチャーミングで元気な魅力にあふれたオーロラは、二人が活躍するフロリダの空を想像させるよう。また、上村未香が踊った『愛しくて』は、彼女の夫・貞松正一郎の振付で、赤ちゃんを愛おしく思う様子が描かれた優しい作品、柔らかく優美。
 そしてラストは、野間景の『瀕死の白鳥』。折れそうなのに、内側に確かな強さが感じられる---この、息づかいが聞こえる広さで、この踊りを観ることができたのが幸せに思えた。
 関西のバレエ・コンサートというと、回転などのテクニックを見せる演目が多くなる傾向があるが、今回は落ち着いたバレエの魅力が楽しめた。
 

(6月29日、そごう劇場)