ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2006.10.10]
From Osaka -大阪-

今岡頌子・加藤きよ子ダンススペース『STAGE 渦』

 前後左右360度客席のある舞台を使っての、ダンス(ムーブメント)、ピアノ、歌、語りを、合わせて行った公演。演出・振付は、加藤きよ子。
 谷川俊太郎の詩をモチーフにした『歩くうた』が、スーッと心にしみ入った。言葉では表せないことを表現する“ダンス”という世界で、“言葉”を取り入れるのは、とても難しいことだと思う。それによって、説明的になったりすると踊りの魅力が台無しになるから。だがこの作品は、まるで音楽と舞踊とが上手くマッチした時のように言葉と動きがマッチしていた。「人は歩く てくてく歩く・・・」で始まる詩は、「人には歩く自由がある」で締めくくられる。
 子どもが、老いた人が、男が、女が・・・事情を抱えていそうな人など、さまざまな人(ダンサー、役者、ピアニスト・・)が、いろいろな表情でこの詩の言葉を口にし、踊り、そして“歩く”。時には、林光のつけた曲に乗せて、この詩を歌う。 最後、正面をハッキリと見据えた目線で「人には歩く自由がある」という言葉が響いた時、その前向きな思いがとても心地よかった。
 他に、甲斐洋平による「月光」のピアノ演奏、そして、シェイクスピアの「テンペスト」からの『TEMPEST』も上演。李庭林による韓国風のタペストリーは舞台美術&小道具として効果的に使われ、踊りそのものも含め、視覚的に変化のある構成で楽しめた。
(8月30日 兵庫県立芸術文化センター小ホール)

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