ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2006.07.10]
From Osaka -大阪-

ロシアバレエ3作品を上演、法村友井バレエ団公演

 団長の法村牧緒をはじめ多くの団員がロシアに留学した経験を持つ法村友井バレエ団。サンクトペテルブルクのキーロフ(マリンスキー)バレエとの関係は深く、今回の公演でも『シェヘラザード』の振付とシャリアール王役をヴァジム・シローチンに依頼、金の奴隷にはニキータ・シェグロフを招いた。

 最初に上演されたのは『ドン・キホーテ』より夢の場。幕が開くと、パステルトーンのさまざまな色の衣裳のダンサーたち。夢の世界の可愛らしい美しさに思わず客席から拍手が起こる。コールド・バレエ、キューピット衣裳の小さい子たちまでがロシア・メソッドをきちんと学んでいることが分かる踊り、正確に踊ろうと心がけていることが伝わってくる。ドルシネアは高田万里、甲が美しくキリッとした知性も兼ね備えた踊りをみせる彼女、最近多くの主役を重ねる中で“主役の風格”や“華やかさ”がプラスされたようだ。森の女王は杉岡麻魅、ロシアバレエの特徴とも言える上半身の柔らかさを活かしてみせてくれた。愛の妖精の中尾早織も小柄で愛らしく、速い回転もとてもスムーズで適役。

 次の演目は『ライモンダ』からグラン・パとパナデロス。法村圭緒が、ラブロフスキーの振付を残しつつ初振付に挑んだ。彼自身がジャン・ド・ブリエンヌ、室尾由紀子がライモンダ、パナデロスの中心に西尾睦生。西尾は表情豊かに速い回転も滑らかに、大人だからこその睨みの利いた表情も印象的で民族舞踊の魅力を満喫させてくれた。室尾はしっかりとした技術の上に、ヴァリエーションでは華やかさに大人の色気をプラス。他の公演で、溌剌とした元気なイメージが印象的だったので、こういう魅力も出せるダンサーだということを新たに発見した気分だ。

 法村圭緒は、品のある雰囲気に美しく高いジャンプ、踊り進むにしたがって勇壮さが増してきて、主役2人のコーダはテクニカルな楽しみが。周りを固める8組の男女も、スタイルの美しいダンサーが揃っており、バレエ団の層の厚さが感じられた。

 最後の『シェヘラザード』は、総合芸術としての素晴らしさが強く感じられた作品。舞台装置や衣裳はロシアで製作(ちなみに『ライモンダ』も舞台装置はロシア製作)。重厚な色合いを意識した照明、堤俊作指揮、関西フィルハーモニー管弦楽団の演奏が、上手く溶け合い、オリエンタルなハーレムを現出させた。ゾベイダを踊ったのは堤本麻起子、長身で美しい彼女は、金の奴隷のニキータ・シェグロフともとてもよく合っている。忙しいシェグロフに合わせ、ロシアでリハーサルを重ねたそうだ。妖艶で柔らかいゾベイダと、勇ましくダイナミックな金の奴隷 ----2人の踊りはうっとりする美しさとともに、ロシア・バレエらしい魅力を深く楽しませてくれた。堤本には、この役がとても似合っていたので、ぜひまた踊り、美しさや妖艶さの上に、年齢を重ねることで深まるものを更に刻んでもらうことが出来たらとても素晴らしいと思う。
(6月3日、フェスティバルホール)


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