ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2005.11.10]
From Osaka -大阪-

●物語の考察も興味深かった岡本バレエ団『シンデレラ』

『シンデレラ』というと、「お腹を空かせたお婆さんに、心優しいシンデレラがパンをあげて・・・」というのが定番になっている。でも、ここでは違っていた。シンデレラは、素足で凍えそうなお婆さんに、大切にしまってあった実のお母さんが残してくれた上履きを履かせてあげる----まさに、上履きは実の母の愛の象徴----だから、舞踏会の夜12時の鐘がなってドレスや馬車が元に戻ってしまっても、ガラスの靴だけはそのまま----というナルホドと思えるストーリー。今回のプログラムに書かれたところによると、プロコフィエフが『シンデレラ』の作曲をする時、彼に示されたヴォルコフの台本には、このようにパンではなく上履きになっているのだという。初めて観た演出だったが、とても興味深く思えた。

 シンデレラ役は江川由華。優しい雰囲気を持った美人で、踊りも安心して観ていられる。演技も自然で良かった。また王子(アンドレイ・クードリャ)と継母(岩本正治)の思わず笑えるやりとりも楽しく、そこに絡むいじわるな2人の姉、橋口真貴と上杉真由も熱演。2人の姉は、それぞれ別のタイプのいじわるという役柄設定だったようだが、橋口は元来の上品な雰囲気がにじみ出てしまうのか、あまりいじわるそうに見えなかったような気がする。

 時の女王(増田亜季)と四季の精(春:藤本直子、夏:橋口真貴、秋:上杉真由、冬:前田奈美甫)も、みんな一定以上のレベルの踊りを観せてくれた。特に冬の前田奈美甫は顔が小さくスタイルもよくて、手や脚が美しくしなる魅力的な踊りで素晴らしかった。
(10月8日 大阪メルパルクホール)


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