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[ロンドン] シェイクスピア没後400年を記して『冬物語』が再演され、平野亮一がポリクセン役を踊る

ワールドレポート/その他

アンジェラ・加瀬
text by Angela Kase

The Royal Ballet 英国ロイヤル・バレエ団

"The Winter's Tale'" By Christopher Wheeldon 『冬物語り』クリストファー・ウィールドン:振付

今年はイギリスが生んだ文豪ウィリアム・シェイクスピア没後400年。これにちなんで世界各国でシェイクスピア400と名付けられた様々なイベントや舞台公演が行われている。
本国イギリスでは、シェイクスピアの誕生日である4月23日にストラトフォード・アポン・エイヴォンにあるロイヤル・シェイクスピア劇場で、超豪華キャストによる一夜限りの舞台公演が行われた他、ロンドンおよび地方都市の劇場や教会の公演、公演のTV中継やライブ・ストリーミング、大英博物館やグローブ座をはじめ国内の様々な場所での展覧会が行われるなど、世界の舞台ファン垂涎のイベントが目白押しだ。
バレエ界もシェイクスピア原作作品の上演に余念がない。英国ロイヤル・バレエは、4月12日〜6月7日まで、クリストファー・ウィールドン振付の『冬物語』を3配役15公演。2014年の世界初演後、バレエ界のアカデミー賞に相当するブノワ賞の作品賞、音楽賞、主演男性ダンサー賞をはじめ、英ローレンス・オリヴィエ賞ダンス部門の作品賞など、世界の栄えある賞を総なめにした話題作の待ちに待たれた再演である。(作品のあらすじは2014年5月12日号参照

世界初演キャストは、男女主役をエドワード・ワトソンとローレン・カスバートソンのイギリス人プリンシパルが、準主役のボヘミア王ポリクセンをフェデリコ・ボネッリ、女官長ポーリーナをゼナイダ・ヤノースキー、パーディタをサラ・ラム、王子フロリゼルをスティーヴン・マックレーが踊った。セカンド・キャストにはティアゴ・ソアーレスとマリアネラ・ヌネェズが踊るはずであったが、ソアーレスが怪我で降板したため、ベネット・ガートサイドが代役を務めている。今回の再演には上記2配役に加え、ソアーレスのシチリア王レオンテーィズ、美貌のイギリス人ソリスト、クレア・カルヴァートの王妃ハーマイオニ、平野亮一によるボヘミア王ポリクセン、新星フランチェスカ・ヘイワードによる羊飼いに育てられたプリンセス、パーディタ、07年のローザンヌ賞受賞者でファースト・ソリストのジェイムス・ヘイの王子フロリゼル、長身のソリスト、クリスティーナ・アレスティスによる女官長ポーリーナという魅力的な配役が加わり、フレッシュな顔ぶれが観客や英バレエ・ファンの目を大いに楽しませた。

「冬物語」photo/Angela Kase 2人の王は王子と姫の結婚を喜ぶ

「冬物語」photo/Angela Kase(すべて)

4月20日、ソアーレス、カルヴァート、平野キャスト2回目の公演を観る。
1幕、カルヴァートの王妃がたいへん魅力的で観客の目を一挙に惹きつけた。美貌と香る女らしさ、夫に無実の姦通罪を言い渡され苦悶する姿、愛する息子の死を嘆く様はあくまでも自然でありながら説得力があり、絶品の女優バレリーナぶりを体現していたからである。平野のボヘミア王ポリクセンは威厳に満ちあふれ、準主役ではあるが主役以上に登場場面の多いこの役を好演した。
一方、ソアーレスは1幕では、世界初演キャストで男性離れした柔軟な肢体と踊る性格俳優ぶりで、世界的に有名なワトソンや抑えた演技で作品を引き締めたガートサイドに比べると、演技力に乏しい感が否めなかったのだが、1幕の終わりに自らの妄想のせいで、愛する妻や息子、愛娘のすべてを失い、空虚な後半生を迎えた2幕の表現力がペーソス豊かで作品をより感動的にしていた。

「冬物語」2幕 ムンタギロフ、スティックス=ブルネル photo/Angela Kase

ヘイワードのパーディタには内側から輝きを放つスター性があり、スポーティな肢体は小鹿のようでもあり、高貴な生まれを感じさせながらも、羊飼いに育てられた娘という設定が良く似合った。2幕はパーディタと王子フロリゼル、羊飼いの息子と羊飼いの若い娘による2つのパ・ド・ドゥを中心に、群舞も含めダンス・シーンが盛りだくさんである。
王子フロリゼル役のヘイは、ジョビー・タルボット作曲のアップテンポな音楽にあわせソロを好演したものの、『2羽の鳩』の時と同様にしばしば演技過剰に陥り、また音楽にノリノリでソロを踊る様子が素のままで現れ、王子というよりは若者になってしまっていたのが少し残念であった。女官長ポーリーナを演じたアレスティスは清楚な魅力が光り、カルヴァートと共に、この魅力的な配役のキーパーソンとなっていたし、演技達者のトマス・ホワイトヘッドが世界初演キャストでも、この配役でもパーディタを引き取る羊飼いを演じているのも作品の完成度を高める結果となった。

美しいカルヴァートの王妃とペーソスあふれるソアーレス扮するレオンティーズ王との和解、捨てられたプリンセスとの再会の場面は大変感動的で涙する観客も多く、終演後のロイヤル・オペラ・ハウスは、この作品と配役に魅了された観客による暖かい拍手に包まれていた。
(2016年4月20日ロンドン ロイヤル・オペラ・ハウス。セカンド・キャストの舞台写真は4月12日の最終ドレス・リハーサル)

「冬物語」photo/Angela Kase 結婚披露パーティー

「冬物語」photo/Angela Kase 王妃の不義密通を疑う王

「冬物語」photo/Angela Kase 冬の海を渡って姫を捨てに行く

「冬物語」photo/Angela Kase 王妃の不義を疑い苦悶する王

「冬物語」2幕 ムンタギロフ、スティックス=ブルネル photo/Angela Kase

「冬物語」アクリ瑠嘉 photo/Angela Kase

冬物語」2幕 ムンタギロフ、スティックス=ブルネル photo/Angela Kase

「冬物語」photo/Angela Kase 生きていた王妃との再会

「冬物語」photo/Angela Kase 若き日の妄想の為に孤独な半生を送る王

「冬物語」photo/Angela Kase 王は王妃と親友の不義密通を疑う

「冬物語」photo/Angela Kase 王と王妃、姫との再会

「冬物語」2幕 ムンタギロフ、スティックス=ブルネル photo/Angela Kase

「冬物語」2幕 ムンタギロフ、スティックス=ブルネル photo/Angela Kase

「冬物語」photo/Angela Kase(すべて)

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