スーパースター、デヴィッド・ホールバーグがオーストラリア・バレエ団の次期芸術監督へ就任

ワールドレポート/オーストラリア

岸 夕夏 Text by Yuka Kishi

_TAB_David_Hallberg_credit_Daniel-Boud-(4).jpg

David Hallberg. Photo by Daniel Boud, Courtesy by The Australian Ballet

デヴィッド・ホールバーグがオーストラリア・バレエ団の次期芸術監督へ就任すると、3月3日オーストラリア・バレエ団が公式に発表した。ニューヨーク・タイムズやファッション誌ヴォーグなども含めて、瞬く間に世界中に報道された。
オーストラリア・バレエ団を20年間率いてきた、デヴィッド・マカリスター芸術監督が2020年末をもってその任を退くことを昨年発表した当時、デヴィッド・ホールバーグがマカリスター後任となる推測はメディアでも伝えられていた。だが、ホールバーグ自身が現役ダンサーを続ける意向を表明していたため、後任の憶測はその後流れることなく、今回の突然の発表に至った。
選考については世界中から50人以上の候補者があったと、ニューヨーク・タイムズは伝えている。ホールバーグは2021年1月より第8代目オーストラリア・バレエ団芸術監督に就任する。

デヴィッド・ホールバーグは現在37歳、2017年にオーストラリア・バレエ団初の常任ゲストアーティストになる。アメリカン・バレエ・シアターとボリショイ・バレエのプリンシパルダンサーで、英国ロイヤル・バレエのプリンシパル・ゲスト・アーティスト。2011年にボリショイ・バレエ史上初のアメリカ人プリンシパルダンサーとなる。
ホールバーグとオーストラリア・バレエ団との繋がりは10年前の『くるみ割り人形』の客演以来。2015年、キャリアの岐路に立たされた足首の怪我のためホールバーグはメルボルンに滞在し、オーストラリア・バレエ団の医療チームと14ヶ月間のリハビリを行った。当時のインタビューでホールバーグは、オーストラリア・バレエ団との間にできた緊密な関係と心境を率直に語っている。
https://www.chacott-jp.com/news/worldreport/australia/detail000243.html
2016年12月にオーストラリア・バレエ団の『コッペリア』フランツ役で2年半ぶりの本格的な舞台復帰を果たした。

ジャーナリストで舞踊史家ヴァレリー・ローソン(Valerie Lawson)が、有力紙シドニー・モーニング・ヘラルドでホールバーグの言葉を伝えている。「ここにある才能を育て、作品の中で活かし、オーストラリア・バレエ団を世界の舞台に紹介することにワクワクしている」。英国、ロシア、フランス、アメリカなどに多くのコンタクトを持つホールバーグにより、今後の客演交流がさらに深まることが期待される。
アメリカン・バレエ・シアター(ABT)の芸術監督、ケヴィン・マッケンジーは
「デヴィッド・ホールバーグは、新たな振付家を育成するABTのワークショップ "ABT Incubator" の設立など、ABTの中でもリーダーシップを発揮してきた。彼の成熟を見届けてきたことを誇りに思い、次の新たなステージに期待している」と語っている。
オーストラリア・バレエ団のプリンシパルダンサー、近藤亜香からのメッセージでは「世界中で活躍するバレエスター、デヴィッド・ホールバーグがオーストラリア・バレエの芸術監督に就任することは、私たちダンサーにとってもとても嬉しいニュースでした。彼の国際的な経験を活かして、オーストラリア・バレエ団をもっともっと世界の皆様に知ってもらえるように率いて、彼のディレクターシップのもと日本公演にいけたらいいな、と密かに思っています!」

ホールバーグのアーティストとしての視点、世界的な視野とリーダーシップで、オーストラリア・バレエ団が新たな時代を切り開いていくことへの期待が高まっている。

記事の文章および具体的内容を無断で使用することを禁じます。

ページの先頭へ戻る