草刈民代の動画配信から生まれた、ジャンルを超えたダンサーによる INFINITY DANCING TRANSFORMATION公演

ワールドレポート/東京

関口 紘一 Text by Koichi Sekiguchi

草刈民代が引退を表明しラストダンスを踊ったのは2011年。ルイジ・ボニノと共演したローラン・プティ振付の「ダンシング・チャップリン」だった。
それから10年。草刈民代は女優として映画、テレビ、舞台での活躍を経たのちダンスの舞台に戻ってくる。きっかけは新型コロナ禍の中、草刈が主宰し、今春、動画配信した「chain of 8」#Chainof8 だった。これは草刈民代、菅原小春、麿赤兒、熊谷和徳、上野水香、辻本知彦、中村恩恵、平原慎太郎というジャンルを越えた8人のダンサーの踊りが繋がったもの。音楽はフリップ・グラス。この時、草刈は思ったよりも踊れたと感じたという。
それから今年秋には横尾忠則現代美術館で横尾作品と草刈民代と森優貴が踊る「in between 」(振付・森優貴、音楽はF.グラス)が生まれ、世界に配信された。
https://youtu.be/IYyd5ZFNSGo

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そしてさらに今回の "INFINITY DANCING TRANSFORMATION" 公演へと発展することとなった。
この公演に関して、12月18日には草刈民代と上野水香が出席し、オンライン記者会見が開かれた。
ここで草刈は、ラストダンスを踊ってからおよそ10年が過ぎたのち、多くのダンサーと連携して動画による配信を試みてみて、日本のダンス界の状況が大きく変わっていることを感じた。それはもちろん、新型コロナ禍という特殊な事情もあったのかもしれないが、こうした状況の中で舞踊家やダンサーたちの中からあまり大きな主張が感じられなかった。本当にこれでいいのだろうか、という気持ちが生まれてきた、という。しかし一方では、日本のダンス界には以前にも増して人材が豊富になってきている。それならば、という想いから、映画監督の夫、周防正行などの意見も加えて、この企画に発展したきたそうだ。

今回公演では、草刈民代、菅原小春、熊谷和徳、上野水香、辻本知彦、中村恩恵、平原慎太郎、石井則仁、柄本弾が参加する。
全体は2部構成になっており、第1部は新作を含むソロ作品、第2部は9人のソリストによる11作品で構成される「CHAIN OF 9」が予定されている。振付は中村恩恵、辻本知彦、熊谷和徳、平原慎太郎、田中祐子、石井則仁、菅原小春、宝満直也。芸術監督・演出は草刈民代。音楽はSOHN、Mooryc、Kyson、Antony and the Johnsons。(特殊録音を使用)となっている。
公式 HPはhttp://www.classics-festival.com/rc/infinity/

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