サラファーノフとノヴィコワ、そしてスハルコフが踊ったキエフ・バレエ『白鳥の湖』

ワールドレポート/東京

関口 紘一 Text by Koichi Sekiguchi

キエフ・バレエ

『白鳥の湖』ワレリー・コフトン:振付・演出、マリウス・プティパ、レフ・イワノフ、フョードロフ・ロプホフ:原振付

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撮影/瀬戸秀美(この公演すべて)

キエフ・バレエの『白鳥の湖』は、1986年に初演されたワレリー・コフトン版である。
今回の日本公演では、マリインスキー・バレエでプリンシパルとして踊ったのち、ミハイロフスキー・バレエにやはりプリンシパルとして移籍したレオニード・サラファーノフがジークフリート王子。サラファーノフはキエフ・バレエのゲスト・ソリストでもある。そしてマリインスキー・バレエのファーストソリストのオレシア・ノヴィコワがオデット/オディールを踊った。ともにマリインスキー・バレエで活動しただけに、終始安定感のある演舞で物語を紡いでいた。
ノヴィコワは長い手足巧みに操り、しっかりとオデット/オディールも踊り分けた。アダージオでは少しラインが乱れたが、それも手足が長すぎるのではないか、と心配するほどスタイルも良い。ヴァリエーションで踊るところはさすがマリインスキー・バレエと思わせるほぼ完璧な踊りを見せた。第四幕では、駆けつけたジークフリート王子と寄り添い深い悲しみの情感を表し会場の共感を呼んでいた。
サラファーノフはすでに若くはないが、身体が柔らかく良く動く。余裕を持って自在に身体の動きを大きくみせ、見事な無音の猫脚着地で会場を魅了した。パ・ド・トロワはアレクサンドラ・パンチェンコ、アナスタシア・グルスカヤ、ニキータ・スハルコフが踊った。スハルコフは若々しく力強い踊りを見せて人気があり、盛んに喝采を浴びていた。

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サラファーノフ、ノヴィコワ

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サラファーノフ、ノヴィコワ

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コフトンの演出・振付は20世紀の終盤からロシアで多く踊られているオーソドックスなヴァージョンで、最近では珍しいハッピーエンドだった。
第3幕の装置(舞台美術はマリア・レヴィーツカヤ)は、キリスト教が普及する以前のキエフ大公国の文化を偲ばせる、彫り物が多数飾られていた。ライオンの彫刻を飾ったシャンデリアや動物を型どったエンブレムなどが醸す、独特の魔術的な雰囲気のある宮殿だった。ここでディヴェルティスマンはスペイン、ナポリ、ハンガリーと踊られた。キエフはまたコサック国家でもあったから闊達な民俗舞踊が発達していた。その伝統を彷彿させるように、デヴェルティスマンはみんなそれぞれ活気があった。そしてキエフ・バレエらしくオーケストラ演奏とも一体化して会場は大いに盛り上がった。
また、「初夢バレエ・ガラ」の舞台評でも触れたが、今回のキエフ・バレエ来日公演『白鳥の湖』は、カンパニーを代表するプリマ、エレーナ・フィリピエワが全幕を踊るのは最後となる。また、キエフ・バレエの次世代を担うことを期待されているアンナ・ムロムツェワが、オデット/オディールのデビューを果たした。キエフ・バレエの長い歴史と伝統の中の一コマが動いた舞台でもあった。
(2020年1月10日 東京文化会館 大ホール)

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エレーナ・フィリピエワ

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最後の『白鳥の湖』全幕を踊ったエレーナ・フィリピエワ

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オデット/オディールのデビューを果たしたアンナ・ムロムツェワ

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