マリインスキー・バレエ 日本公演 2018 記者会見、ダンサーたちの言葉

ワールドレポート/東京

関口 紘一 Text by Koichi Sekiguchi

マリインスキー・バレエ団の3年ぶりの来日公演はすでに幕を開けているが、東京公演を翌日に控えた11月27日、東京文化会館で主要ダンサーが揃って記者会見が行われた。
今回のマリインスキー・バレエ団の来日は、プティパ生誕200年ということもあり、『ドン・キホーテ』(22年ぶりの上演)『白鳥の湖』の全幕2作と、「マリインスキーのすべて」というスペシャル・ガラがプログラムされ、全12公演(東京10公演、兵庫県立芸術文化センターで全幕2作)が開催されている。そして今回の公演はU25チケットが発売される。25歳以下の若い観客にマリインスキーの舞台を見てもらいたいための試みだという。(開演30分前に残券があれば25歳以下の方に5000円で販売される)

記者会見に最初に登場したのは、ヴィクトリア・テリョーシキナ、レナータ・シャキロワ、キミン・キム、エカテリーナ・コンダウーロワ、アリーナ・ソーモワ、永久メイの6人。いつも中央でダンサーに囲まれてにこやかに話すユーリー・ファテーエフ芸術監督の姿がない。彼は日本に来る前の中国からのフライトの予定が遅れ、今、空港に着いたところで、そのまま記者会見の会場に向かうとのこと。そしてウラジーミル・シクリャローフはリハーサル中のため、途中から登場し、先に挨拶を済ませ、再びリハーサルのため退場。コンダウーロワもまたリハーサルのために途中退席するなど、本番直前の緊張感のある慌ただしさも感じさせた。

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ウラジーミル・シクリャローフ

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エカテリーナ・コンダウーロワ

記者会見で語られたマリインスキー・バレエのダンサーたちの言葉の一部を紹介すると、ウラジーミル・シクリャローフは「3年前に来日した時には怪我のため『ロミオとジュリエット』のロミオ役を踊ることができなかったことが苦い思い出。しかし、昨年2月、日本のカンパニーの公演で(ヴァージョンは異なるが)ロミオを踊ることができました。そして今年は『白鳥の湖』のジークフリートを踊ります。」
ヴィクトリア・テリョーシキナは「日本観客は古典バレエが好きで、特にフェッテが喜ばれると思います。私は『ドン・キホーテ』『パキータ』3幕を踊りますが、どちらもフェッテがいっぱいあります。」
キミン・キムは「私も初めての海外公演の時は、とてもドキドキしました。ですから今回は永久メイさんをみんなで精一杯サポートしようと思います」
アリーナ・ソーモワは「私は6年ぶりだと思っていたら、9年ぶりの日本公演です。日本に来なかった間に二人の子供が生まれました。そして家族には、これからはロシア以外では踊らない、と言っていたのですが、今、日本で踊るためにここにいます。」
エカテリーナ・コンダウーロワは「私は『白鳥の湖』を踊りますが、このバレエは見れば見るほどおもしろくなる作品です。それからイリヤ・ジヴォイ振付『フラッシュバック』(アルヴォ・ペルト音楽)を踊ります。この作品は今年2月にロンドンで踊りましたが、ロシアでもまだ踊ったことがありません。」
レナータ・シャキロワは「ワガノワ・バレエ・アカデミーの日本公演で10年以上前に日本に来ています。今回が初めての海外公演です。キミン・キムと『タリスマン』よりパ・ド・ドゥを踊ります。」

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ユーリー・ファテーエフ芸術監督

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永久メイ

そして永久メイは「私は東京文化会館に以前にバレエを見に来たことがあります。こんなに素晴らしいダンサーたちと会見に出席させていただき、一緒に踊らせていただけるなんて。『白鳥の湖』のパ・ド・トロワを踊りますが、これは踊りやすくて、ポロネーズでは王子と踊ることができるのでとても好きです。『ドン・キホーテ』ではキューピット、『海賊』よりパ・ド・ドゥ、『パキータ』も踊ります。」
そして空港から直接駆けつけたユーリー・ファテーエフ芸術監督は
「日本に来るのは大きな喜びです。ダンサーたちもみんな嬉しそうな顔をしているでしょう。日本の観客の古典バレエへの深い理解は、われわれの大きな支えです。そして来日する時は、いつも新しい作品も持ってきていますが、今回はユーリー・スメカロフ振付『別れ』、ユーリー・ブルラーカ振付復元・演出『パキータ』よりグラン・パ、若手のイリヤ・ジヴォイが振付た『フラッシュ・バック』などを上演します。」
マリインスキー・バレエの来日公演も佳境に入った。ロシア・バレエの素晴らしさを存分に堪能してください。

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マリインスキー・バレエ「ドン・キホーテ」「マリインスキーのすべて」「白鳥の湖」

●2018年11月28日(水)〜12月9日(日)
●東京文化会館

ジャパン・アーツぴあコールセンター TEL:03-5774-3040

日本公演特設サイト:https://www.japanarts.co.jp/mariinsky2018/index.html

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