『不思議の国のアリス』新『白鳥の湖』『マノン』ほか、英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2017-18がアンコール集中上映される
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ワールドレポート/東京
関口 紘一 Text by Koichi Sekiguchi
9月14日から19日まで、英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2017-18が集中してアンコール上映される。今シーズンのライン・アップは、『不思議の国のアリス』やリアム・スカーレット版新制作『白鳥の湖』など、満席の回も出た人気作が並ぶ。平野亮一、高田茜の日本人プリンシパルの活躍も際立つ。特に平野亮一は、シェイクスピア+クリストファー・ウィールドン+ジョビー・タルボットの『冬物語』で主役に抜擢され、カスパートソン、サラ・ラム、ムンタギロフ、マシュー・ポール、モレーラと踊った。さらに『マノン』でもレスコー役を踊り、ロイヤル・オペラ・ハウスに鮮烈な印象を残した。また。高田茜は、このシネマシーズンではスカーレット版『白鳥の湖』で、新たに作られた役のジークフリート王子の妹を清新に踊り、新版の成功に大いに貢献した。この二人の日本人プリンシパルの活躍は、ぜひ目に留めておきたい。
他にお薦めなのは『バーンスタイン・センテナリー』。これはレナード・バーンスタインの生誕100年を記念して、ウェイン・マクレガー、リアム・スカーレット、クリストファー・ウィールドンという、英国ロイヤル・バレエが世界に誇る俊英振付家3人によるトリプルビル。マクレガーの『幽玄 Yugen』(ボネッリ、プレイスウェル他)とウィールドンの『コリュバンテスの遊戯』(カスパートソン、ナグディ他)は世界初演で、スカーレットは英国の詩人W・H・オーデン詩にインスパイアされた『不安の時代』(サラ・ラム、キャンベル他)を上演している。音楽はもちろん、バーンスタインの曲が使われている。中でも私が感心したのは、ウィールドンの『コリュバンテスの遊戯』。曲は『セレナード(プラトンの饗宴による)』を使って、見事に音楽性豊かなバレエを作り上げている。ロイヤル・スタイルとニューヨーク・シティ・バレエのスタイルを融合した素晴らしい舞台が誕生していると思う。
また、ピーター・ライト版『くるみ割り人形』は愛らしいフランチェスカ・ヘイワード、サラ・ラム、ギャリー・エイヴィス、スティーヴン・マックレー、アレクサーダー・キャンベルとスター・ダンサーが揃って、この上なく楽しい。
そしてこのシネマシーズンのもう一つの楽しみは、バックステージの案内が充実していること。往年のというには未だ華麗な踊りが記憶に新しい名花、ダーシー・バッセルとテレビ司会者のオレ・オドゥバの二人が中心となって、ウィットに富んだ掛け合いを混じえながら、主要スタッフにインタビューしていてたいへんおもしろい。さすがにバッセルは、ロイヤル・オペラ・ハウスの隅から隅まで知悉していて感心させられることが多い。もちろん、リハーサル映像もふんだんに挿入されている。英国ロイヤル・オペラ・ハウスの豪華を極めたステージから、創作に心血をそそぐバックヤードまで、見応え十分なシリーズである。
<英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2017-18>アンコール上映
9/14(金)〜9/19(水)@TOHOシネマズ 日比谷&TOHOシネマズ 日本橋
(※上映時間は劇場によって異なります。 劇場案内でご確認下さいませ。)
TOHOシネマズ 日本橋では、TOHOシネマズの独自規格ラージスクリーン「TCX」で上映されることが決定!
(TCXでの上映は18日までとなります。)
★9/14(金)『バーンスタイン・センテナリー』
★9/15(土)『くるみ割り人形』
★9/16(日)『不思議の国のアリス』
★9/17(月・祝)『白鳥の湖』
★9/18(火)『マノン』
★9/19(水)『冬物語』
■配給: 東宝東和
■公式HP: http://tohotowa.co.jp/roh/
バーンスタイン・センテナリー:© ROH,2018 ph by Andrej Uspenski
くるみ割り人形:© ROH,2017.Photographed by Karolina Kuras
不思議の国のアリス:© ROH.Johan Persson
白鳥の湖:© ROH, 2018. Ph. by Bill Cooper.
マノン:© ROH Photographed by Alice Pennefather
冬物語:©ROH,2018.ph.byTristram Kenton