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世界バレエフェスティバルの開幕にふさわしいウルド=ブラームとエイマンによる『ドン・キホーテ』

ワールドレポート/東京

佐々木 三重子 Text by Mieko Sasaki

第15回世界バレエフェスティバル:全幕特別プロ

東京バレエ団:『ドン・キホーテ』ウラジーミル・ワシーリエフ:振付

第15回世界バレエフェスティバルの幕開けを飾るべく、全幕特別プロ『ドン・キホーテ』(ウラジーミル・ワシーリエフ版)が、フェスティバルに参加する2組のペアを招いて東京バレエ団により上演された。当初は、パリ・オペラ座バレエ団のエトワール、ミリアム・ウルド=ブラームとマチアス・エイマンと、イングリッシュ・ナショナル・バレエのプリンシパル、アリーナ・コジョカルとセザール・コラレスが客演予定だったが、コラレスが脚をケガしたため、ミハイロフスキー・バレエ団のレオニード・サラファーノフに代わった。このため仏英の競演とはならなかったが、どちらも魅力的なキャスティング。このうち、初日を務めたパリ・オペラ座のペアを観た。

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Photo:Kiyonori Hasegawa

プロローグで、エイマンは、ドン・キホーテの髭を剃りながら、後ろで待っている恋人キトリに気もそぞろなバジルの様子を手に取るように伝えた。その後も、快活で陽気で、エネルギー溢れるバジルをしなやかに演じてみせた。一方のウルド=ブラームは、町の広場に颯爽と飛び込んでくるだけで、祭りの賑わいを一層華やかなものにした。高く脚を振り上げ、小気味よく回転したが、彼女の持ち味なのか、どこか上品な雰囲気を漂わせていた。キトリ役としてはもっと弾けても良かったと思う。よくコンビを組む二人だけに、恋の駆け引きも含めて演技の間合いは絶妙で、リズムにのったスピード感溢れる踊りを披露した。終幕のグラン・パ・ド・ドゥでも、精確で典雅な技を披露し、リフトやフィッシュ・ダイヴも見事に決めた。総じて超絶技巧に訴えようとするものではなかったが、足先まで神経を行き届かせたエイマンのジャンプやピルエット、シングルでも軸足と上げた脚を美しく保ち続けたウルド=ブラームのグラン・フェッテなど、みな端正そのもので、パリ・オペラ座の格調の高さを印象づけた。

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Photo:Kiyonori Hasegawa

東京バレエ団のダンサーたちは、この二人の演技に刺激されたのだろう、エスパーダの柄本弾はパワフルなソロを展開し、メルセデスの奈良春夏は柔軟な身体を駆使して切れ味鋭く踊り、若いジプシー娘の伝田陽美は渾身の演技で心の叫びを表出し、キューピッドの足立真里亜は愛らしい演技で和ませた。見せ場の多い作品ということもあり、世界バレエフェスティバルの開幕にふさわしい、高揚した舞台が楽しめた。

(2018年7月27日 東京文化会館)

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Photo:Kiyonori Hasegawa

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