見事に決まった太鼓とピアノのコラボレーション
- ワールドレポート
- 東京
掲載
ワールドレポート/東京
- 関口 紘一
- text by Koichi Sekiguchi
小松原庸子 構成・演出・振付『Hibiki ESTE---OESTE』
ソル・デ・エスパーニャ
小松原庸子と太鼓のソリストとしてニューヨークのカーネギーホールにもデビューした林英哲による、フラメンコと太鼓のコラボレーション公演が、小松原庸子スペイン舞踊団の創立40周年記念公演として開催された。
太鼓もフラメンコもともにリズムが命。ただ、間がまったく違うのではないかと思っていた。ところがこれがじつに上手くマッチしたのには驚いた。
フラメンコの名門出身でこの公演でもピアニストを務めている、タビ・ペーミャ・ドランテが太鼓の音に惹かれたのがきっかけとなって始められたコラボレーションだそうだが、音楽的にも大成功たったのではないか。
太鼓だけでは単調になりがちだが、華やかなバイレとシックな男性ダンス、そしてドランテの素晴らしいピアノ、悲哀をおびたカンテ、さらにたくましい太鼓の響きがほどよくミックスされて、重層的な充実した空間が観客を別天地へと誘った。
カディス出身でクリスティーナ・オヨス舞踊団でも踊ったエル・フンコは、ガデスばりの魅力的な容姿。長めのソロを踊って喝采を浴びた。サパテアードの優れた使い手である。長身でさらにスケールの大きな踊りが期待できそうだ。
ダンスの構成もバラエティに富んでいて充分に楽しかった。背景に使われた種々の紋様も洒落ていて、熱い舞台にクールな雰囲気を創っていた。
またぜひ、試みて欲しい公演である。
(2010年1月9日 新国立劇場 中劇場)
撮影:大森有起