バレエ団ピッコロクリスマス公演 西田佑子のスワニルダが楽しかった

ワールドレポート/東京

関口 紘一
text by Koichi Sekiguchi

松崎すみ子:演出・振付『コッぺリア』

バレエ団ピッコロ

バレエ団ピッコロがクリスマス公演に『コッペリア』を上演した。この公演は会場となっている練馬文化センターの開館以来、毎年開催され今回は27回目を迎えた。演出・振付は松崎すみ子、スワニルダには西田佑子、フランツには黄凱、コッペリウスには小泉孝司というキャスティングだった。
音楽はレオ・ドリーブ。物語も古典名作の大筋を生かしたものだが、松崎が種々工夫を施し、なかなか楽しく興味を惹く舞台だった。1幕では、旅芸人を登場させて踊りを盛り上げる。そして、中央で様々な踊りをみせながら同時進行でスワニルダとフランツやその友人たちとのやりとりを展開して、内容の詰まった充実した舞台を創る。松崎振付の得意技だ。
そうして様々な踊り味わった後の2幕のコッペリウスの仕事場では、スリリングでコミカルな芝居や人形と人間の踊りに骸骨のダンスまで観客の心を掴んだ。少女たちの細かい動かし方もさすがに見事。
西田佑子のスワニルダは動きも表情もじつに活き活きとして可愛らしい。1幕で西田が見せたスワニルダの性格描写が効いて、人形たちと主役がうまく絡んだ。西田のロイヤル仕込みの活発なやんちゃぶりが楽しめた。西田は品のあるすっきりとした歯切れのいい動きで、ほんとに素敵なスワニルダだった。この活きの良さが永遠に続いてほしい。

バレエ団ピッコロ『コッぺリア』 (C)塚田洋一

黄凱もソフィスティケイトされ演技と踊りで、洒落たコミカルな味を感じさせた。いつもの舞台の印象からは意外だが、とぼけた味をだすのが上手く、余裕のあるフランツを踊ってでとてもよかった。
3幕は、時の踊りから西田と黄凱が踊った平和の踊りまで、七つの踊りが次々とおどられる活気溢れるエンディング。明るく心が浮き浮きするような楽しい公演だった。
(2009年12月26日 練馬文化センター・大ホール)

バレエ団ピッコロ『コッぺリア』 (C)塚田洋一

バレエ団ピッコロ『コッぺリア』 (C)塚田洋一

撮影:塚田洋一

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