色彩豊かなコメディ・バレエの傑作『コッペリア』をプティパ原典版より復元

ワールドレポート/東京

関口 紘一
text by Koichi Sekiguchi

NBAバレエ団

セルゲイ・ヴィハレフ復元のマリウス・プティパ原典版による安達哲治:演出・振付『コッペリア』

『コッペリア』全3幕は1870年に、振付がアルチュール・サン=レオン、音楽はレオ・ドリーブ、原作はE.T.A.ホフマン『砂男』、台本はシャルル=ニュイッテルにより、パリ・オペラ座で初演された。1884年にはマリウス・プティパが再振付してサンクトペテルブルクで上演。その後、このプティパのヴァージョンが様々に変形されながら継承されてきた。2001年にはセルゲイ・ヴィハレフがこのプティパ版をハーバート大学に保存されている舞踊譜に基づいて復元し、彼が芸術監督を務めていたノボシビルスク・バレエ団で初演した。NBAバレエ団は2005年にセルゲイエフ復元版を上演しているが、今回、新たに安達哲治が演出・振付けて上演。美術もヴィチェスラフ・オクーネフが復元した。

NBAバレエ団の第9回トゥールビヨン公演『コッペリア』は、ゲストにサンフランシスコ・バレエ団のマディソン・キースラーを迎えて上演された。スワニルダは峰岸千晶とダブルキャスト。フランツはカナダ出身でヒューストン・バレエ団などで踊った後、今年、NBAバレエ団に入団したソ・ドンヒョンと大森康正のダブルキャストだった。
キースラー&ドンヒョン組で観た。キースラーのスワニルダは若いアメリカン・ガールの活発な魅力を発散させて闊達だった。手足の長い完璧のプロポーションには思わず、うっとりとさせられた。ただ表情などのディティールへの配慮とこだわりがさらにあれば、いっそう素敵な舞台となっただろう。ドンヒョンのフランツはエネルギーがあったが、もう少し軽さと柔軟性を感じさせてくれるとさらに良かったと思う。コッペリウスに扮したアレクサンドル・ミシューチンが演技力を全開して大活躍だった。
演出・振付はたいへん分かり易く、マズルカやチャールダッシュの民族舞踊の色彩が溢れんばかり。初演以来絶えることなく愛され続けてきたこもコメディ・バレエの傑作を大いに楽しむことができた。
(2012年6月17日 メルパルクホール)

NBAバレエ団『コッペリア』 (C)鹿摩写真

(C)鹿摩写真

NBAバレエ団『コッペリア』 (C)鹿摩写真

(C)鹿摩写真

NBAバレエ団『コッペリア』 (C)鹿摩写真

(C)鹿摩写真

NBAバレエ団『コッペリア』 (C)鹿摩写真

(C)鹿摩写真

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