ブランカ・リー『Solstice----夏至/冬至』に出演する日本人ダンサー、菅野由衣からのメッセージが届いた

ワールドレポート/東京

関口 紘一 Text by Koichi Sekiguchi

東京芸術劇場がTACT/FESTIVAL2018の目玉公演として、パリを拠点に活発な舞台活動を行っているブランカ・リーとそのダンスグループを招聘。昨年9月にパリの国立シャイヨー劇場で発表して多くの話題を集めた『Solstice(ソルスティス)----夏至/冬至』を日本初演する。
ブランカ・リーはスペインのグラナダ生まれ。新体操のスペインナショナル・チームに所属していたが、ニューヨークに移ってマーサ・グラハムのもとで学び、ハーレムのヒップホップにも熱中。スペインに戻ってカンパニーを立ち上げ、セビリア万博やペドロ・アルモドバル監督の映画の振付を行い出演もした。ビヨンセやマッカートニーのライヴ、ゴルティエのショーの振付けるなど多彩な創作活動を展開している。また昨年、ニューヨーク・シティ・センターでボリショイ・バレエの元プリンシパルダンサー、マリヤ・アレクサンドロワとともに踊って注目を集めた。2013年には日本のアーティスト・明和電機とのコラボレーションによる『ROBOT』を、ヨーロッパ各国で上演し大きな話題となった。
今回上演する『Solstice(ソルスティス)----夏至/冬至』は、地球と人間の関係をテーマとした"五感を震わすスペクタクル・ダンス"。鍛え抜かれ自在に動くダンサーの身体と、変幻する装置とダイナミックなプロジェクション・マッピング、そして存在の根源に迫るタオ・グティレスの音楽が、人間と自然とのあり方を浮かび上がらせるダンスだ。

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ブランカ・リーのカンパニーにはメインヴィジュアルにも写っている日本人ダンサー、菅野由衣がいる。

菅野が日本公演に向けて、Dance Cubeにメッセージを送ってくれた。まずは、ブランカ・リーのオーディションに参加した頃のことを振り返って
「オーディションには何百という書類選考の中から選ばれた100名以上が参加していました。消極的な私は人ごみの中に埋もれながら審査を受け、最終選考まで残りましたが、その時は契約を取ることができませんでした。
3ヶ月後ブランカから、怪我人が出たので、明日から来て欲しいという電話もらい、劇場に行きました。その時は、クリエーションのラストスパートでモンペリエ・ダンスフェスティバル初日の5日前でしたので、今でも忘れらません。舞台リハーサルの中、必死にビデオを見ながらワンシーンの振付を覚え、最終的なオーディションをして契約できました。その後、本メンバーとして採用され、5シーズンを終える今でも、ブランカ・リーと仕事をすることができる日々を送っています。今回、日本で上演する『Solstice』では新たにダンサーを加えるオーディションをしましたが、その時はアシスタントとして、逆に審査をする立場となりました」

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菅野は札幌出身で、クラシック・バレエを学びフランスに渡ってCANNES JEUNE BALLETに入団、パリ・オペラ座の元エトワール、モニク・ルディエールに師事した。その後パリを拠点として活動、昨年、国立シャイヨー劇場のブランカ・リーの新作『Solstice』に出演した。

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また、菅野は今回の日本公演について
「フランスではダンスを知らない人も知っているブランカ・リー。彼女は他の振付家にはないオリジナティがあり、いつも私たちの予想を超えたアイデアを発信する振付家の一人です。そして観客へのメッセージ性を残すことをとても大切にしています。
『Solstice』は、彼女が3年をかけて構想を練り、大自然と人の関係性をテーマに創りました。数百人の中から選ばれた、個性あふれるダンサーの踊り、そしてNo,1ではなくonly 1が集結しているカンパニーの個性を生かし、豊かなハーモニーを奏でているところに注目してほしいと思います」と語った。
多彩な先端的手法を駆使して今日の人々の意識の深層に迫り、21世紀のダンスのパースペクティヴを示して注目を集める、ブランカ・リーの『Solstice(ソルスティス)----夏至/冬至』に期待したい。

『Solstice(ソルスティス)----夏至/冬至』

【開催期日・開演時間】
2018(平成30)年6月29日(金)15:00★終演後ポストトークあり(ゲスト予定 明和電機 土佐信道さん)、30日(土)12:00、 7月1日(日)12:00

【開催場所】
東京芸術劇場 プレイハウス

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Solstice © Nico Bustos

 

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