大貫勇輔が扮したドラキュラが強烈な印象を残した、NBAバレエ団『DRACULA』全3幕
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ワールドレポート/東京
- 関口 紘一
- text by Koichi Sekiguchi
NBAバレエ団
『DRACULA』マイケル・ピンク:振付、久保綋一:演出
NBAバレエ団がマイケル・ピンク振付の『DRACULA』(プロローグ付全3幕)を上演した。振付のマイケル・ピンクは、イングリッシュ・ナショナル・バレエ団のプリンシパルとして踊った後、ミルウォーキー・バレエ団の芸術監督を務めている。古典名作バレエの再振付の他、『ピーター・パン』や『ドリアン・グレイ』なども振付けている。音楽はフィリップ・フィーニーでいくつかのピンク作品に曲を提供している。装置、衣装はマシュー・ボーンとのコンビで知られるレズ・ブラザーストン。
ゲスト・ダンサーは、マシュー・ボーンの『ドリアン・グレイ』で日本チームの主役やフレンチ・ミュージカル『ロミオとジュリエット』で死のダンサー役を踊った大貫勇輔。ドラキュラ役を踊った。初日は芸術監督の久保綋一(大森康正とWキャスト)が、主人公のジョナサン・ハーカー役で出演している。他にハーカー夫人のミーナは峰岸千晶、その友人ルーシーには田澤祥子、主治医ヴァン・ヘルシングに三船元雄などが出演している。
弁護士のジョナサン・ハーカーが、ドラキュラ侯爵と契約をむすぶために、トランシルヴェニアに行き、ハーカーの妻と美しい友人がドラキュラに襲われるという恐ろしい事件に巻き込まれる。
大貫勇輔がドラキュラに扮して、日本人離れした長身に不気味な表情を湛え、真っ赤な長いマントを纏い、おどろおどろしく演じた。音もなくそっと忍び寄り、女性の美しい白いうなじの辺りをジット見詰めると、女性でなくとも思わず魂を持って行かれそうだった。多くの女性ファンがハラハラドキドキしながら観ていたに違いない。
ブラム・ストーカーの原作に忠実に創られている、ということだったが、ストーリーがもうひとつ分かりにくかった。ブラザーストンのセットが見事に雰囲気を醸し、リアルな恐怖シーンを作っていた。
大貫勇輔、峰岸千晶 撮影/鹿摩隆司
非常にインパクトの強い題材であり、バレエファンの関心を集めた。さらに表現を深め、語り口を充実させていけば、なかなか得難いレパートリーになるのではないだろうか。
(2014年10月25日 ゆうぽうとホール)
大貫勇輔、久保綋一 撮影/鹿摩隆司
大貫勇輔、久保綋一 撮影/鹿摩隆司
大貫勇輔、田澤祥子 撮影/鹿摩隆司
大貫勇輔、久保綋一 撮影/鹿摩隆司
大貫勇輔、峰岸千晶 撮影/鹿摩隆司
撮影/鹿摩隆司
撮影/鹿摩隆司
撮影/鹿摩隆司