青山季可、清瀧千晴の息の合った踊りと充実したソリストたちの踊りが楽しめた『ドン・キホーテ』

ワールドレポート/東京

関口 紘一
text by Koichi Sekiguchi

牧阿佐美バレヱ団

『ドン・キホーテ』アザーリ・プリセツキ、ワレンティーナ・サーヴィナ:振付(プティパ、ゴルスキー版に基づく)

牧阿佐美バレヱ団の『ドン・キホーテ』を、青山李可のキトリと清瀧千晴のバジルのペアで観るのは初めてだった。(他日は日高有梨のキトリと菊地研のバジル)。青山と清瀧は、息もあっていたし、全体のバランスもよかった。『ドン・キホーテ』に関してはとても良いペアだと思う。清瀧は無駄のない端正な踊りだし、青山も華やかに堂々と踊った。キトリとバジルの間には、気持ちが通い合っているように感じられ、明るく闊達な舞台を創っていて、とても好感が持てた。

プリセツキーとサーヴィナの振付は、ボリショイ劇場バレエのヴァージョンの系譜に繋がるもので、バジルの狂言自殺などのコメディ風の演出には、振付家はさほど重きを置いていないかのようにみえる。そして『ドン・キホーテ』らしい陽気で明るい多彩な踊りが次々と展開する振付だ。それぞれの踊りには、きちんと見せ場が用意されているのには感心した。その点では優れたソリストの多い、このカンパニーには適した演目である。
例えばエスパーダ(中家正博)と街の踊り子(伊藤友季子)、酒場の踊り子(田中祐子)、ジプシーの踊り(吉岡まな美)、そして森の女王(久保茉莉恵)とキューピッド(小林英里佳)、ボレロ(笠井裕子)と、さらにはキトリの友だち(一幕は米澤真弓と織山万梨子、三幕は小橋美山矢子と中川郁)それぞれのソリストの踊りに見応えがあった。特に酒場の踊り子の田中祐子、ジプシーの踊りの吉岡まな美が良かった。牧阿佐美バレヱ団のソリストの多くが主役デビューを果たしており、それぞれに充実した踊りを見せた。
(2014年6月15日 ゆうぽうとホール)

牧阿佐美バレヱ団『ドン・キホーテ』青山季可、清瀧千晴 撮影/鹿摩隆司

撮影/鹿摩隆司

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