熊谷和徳がドーランスと踊ったニコラス・ブラーズ振付『FOR THE MASTERS』が圧巻だった

ワールドレポート/東京

関口 紘一
text by Koichi Sekiguchi

DANCE TO THE ONE A Tap Dancer's Journey

熊谷和徳 KUMAGAI KAZUNORI Produced by TBS

熊谷和徳が1年間のニュ−ヨーク滞在を終え、凱旋公演2014を開催した。「DANCE TO THE ONE」と名付けられた今回はの舞台は、タップダンサー&コレオグラファーのミシェル・ドーランスとともに踊り、音楽はビブラフォン(ビル・ウェア)、ベース(アレックス・ブレイク)、ドラム(ケニー・ウォルセン)、ギター(マサ・シミズ)、サウンド(タカヤ・ナガセ)。演奏を含めて全11曲、ニュ−ヨークの、日本(故郷)への想いをこめてタップダンスの精髄を披露した。

圧巻はミシェル・ドーランスとのコラボレーション「FOR THE MASTERS」。振付はニコラス・ブラザーズだ。ふたりのリズムが組合わさって、だんだん輪郭がぼやけ、やがて合体し、4本の脚が2本となって歌い、板の上で一体となる。"REUNION" はジャズとタップ。この二つは兄弟姉妹のようだ。ニュ−ヨークという人種の坩堝の中で、ジャズとタップは双子の姉妹のように羨ましいくらい仲睦まじく、いつも一緒にある。
永遠に繰り返す波の映像とともに踊られる「DANCE TO THE ONE」。静かに寄せては返すこの波が、1000年に一度、2000年に一度だけ牙を剥く。そして人間のすべてを飲み尽くすのだ。もちろん、故郷さえも。 
そしてラストは「ENLIGHTENMENT Reprise」。20世紀に「アジアはひとつ」と言ったのは岡倉天心だたが、21世紀を迎えて震災を体験して掲げるのは、"DANCE TO THE ONE"。それは"WE ARE ALL IS ONE"だから。
紗幕に映されたニュ−ヨークの動画がやがて地球の姿と合体するエンディングとなる。なかなか洒落たアーバンな感覚の演出だった。
熊谷和徳の若く新しいヒューマニズムが脈打っているのが、直接感じられる、素敵な公演だった。
(2014年1月17日 Bunkamura オーチャードホール)

DANCE TO THE ONE A Tap Dancer's Journey 写真:宮川舞子

写真:宮川舞子

DANCE TO THE ONE A Tap Dancer's Journey 写真:宮川舞子

DANCE TO THE ONE A Tap Dancer's Journey 写真:宮川舞子

DANCE TO THE ONE A Tap Dancer's Journey 写真:宮川舞子

DANCE TO THE ONE A Tap Dancer's Journey 写真:宮川舞子

DANCE TO THE ONE A Tap Dancer's Journey 写真:宮川舞子

DANCE TO THE ONE A Tap Dancer's Journey 写真:宮川舞子

DANCE TO THE ONE A Tap Dancer's Journey 写真:宮川舞子

写真:宮川舞子(すべて)

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