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木村優里がオデット/オディールを踊って見事なコントラストを見せた、新国立劇場バレエ団

ワールドレポート/東京

関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi

新国立劇場バレエ団

『白鳥の湖』マリウス・プティパ、レフ・イワノフ:振付、牧阿佐美:演出・改訂振付(コンスタンチン・セルゲーエフ版による)

新国立劇場バレエ団の2017 - 18シーズンでは、『白鳥の湖』が4月30日より5月6日まで7公演が行われた。コンスタンチン・セルゲーエフ版による牧阿佐美のヴァージョンである。
オデット/オディールは米沢唯がジークフリードの井澤駿と、木村優里が渡邊峻郁と、小野絢子が福岡雄大とそれぞれ2公演踊り、柴山紗帆が奥村康祐と1公演踊った。

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撮影/瀬戸秀美

私は木村優里と渡邊峻郁のペアを見ることができた。木村優里の黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥは見たことがあったが、オデット/オディールを通しては初見だった。木村優里は、第2幕の始まりあたりは少し緊張気味だったが、アダージョが進むにしたがって身体ものってきたのだろうか、自身の表現を取り戻し身体に見あった大きな感情をはっきりと表すことができるようになった。そして第3幕の黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥを踊りながら、小芝富久修が扮するロートバルトと息をあわせ、ジークフリートを手玉にとって翻弄する。この幕全体で、彼女のよく伸びる手と脚をたおやかに使った魅惑的な踊りと演技が、宮廷を魔術的な空間へと変貌させた。むしろロートバルトをリードしているかのような圧巻の演舞だった。そして最後の第4幕では悲しいヒロインとなって美しく完結した。

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撮影/瀬戸秀美

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撮影/瀬戸秀美

こうした見事なオデットとオディールの表現のコントラストこそ木村優里の白鳥の真骨頂だろう。さらに踊り込んでいけば、もっと良くなると思う。その余地というかのびしろを感じさせるスケールの大きなダンサーなのである。カーテンコールでは、かなりの観客がスタンディングオベーションしていたが、いずれ総立ちで迎えられる時とそう遠くはないのではないだろうか。

渡邊峻郁のジークフリード王子もかつて少し感じられた線の細さは消え、踊りに力強さが見られ、安定感がでた。道化を踊った小野寺雄も道化役とは思えないきれいな踊りで会場を沸かせていた。また、紫山沙帆と木下嘉人とともにパ・ド・トロワを踊り、第三幕のディヴェルテスマンではナポリも踊った池田理沙子のくっきりとした表現、ルースカヤを踊った細田千晶の典雅な動きがが印象に残った。
(2018年5月4日 新国立劇場 オペラパレス)

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撮影/瀬戸秀美

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撮影/瀬戸秀美

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