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ボリショイ劇場の流れに連なる堂々とした振付・演出の『ドン・キホーテ』を佐藤麻利香と齊藤拓が踊った

谷桃子バレエ団

『ドン・キホーテ』谷桃子:再振付、プティパ、ゴルスキー、メッセレル:原振付

『ドン・キホーテ』は周知のように、1869年にモスクワのボリショイ劇場で初演された。マリウス・プティパが自身の台本により振付け、音楽はルドヴィッヒ・ミンクスが手がけた全四幕の喜劇だった、と言われる。その後プティパが改訂を重ね、サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場でも上演した。しかし、アレクサンドル・ゴールスキーがさらに改訂して、マイムを減らし自然な演技と踊り、アンサンブルを重視したヴァージョンとして、1900年にモスクワのボリショイ劇場で上演した。それらのヴァージョンを源流として、後世の多くの振付家が『ドン・キホーテ』を演出し振付けている。

谷桃子バレエ団の『ドン・キホーテ』は、ボリショイ劇場でバレリーナとして踊ったスラミフィ・メッセレル(プリセツカヤの叔母)の指導のもとに谷桃子によって振付られ、1965年、日本で初めて全幕上演を果たしている。正統的なボリショイ劇場の流れに属しているヴァージョンである。
プロローグはドン・キホーテ(桝竹眞也)の書斎、第一幕がバルセロナの広場、第ニ幕で居酒屋、風車小屋、森、第三幕は公爵の館、として場ごどに踊りと物語が整えられている。

撮影:谷岡秀昌(スタッフ・テス)

撮影:谷岡秀昌(スタッフ・テス)

第一幕では、本物の馬と鶏が登場し、サンチョ・パンサ(岩上純)が大活躍して、当時のスペイン風俗の定番ともいうべき恒例の人力トランポリンの洗礼をうける。
第ニ幕には、ギターのパ・ド・トロワ、スパニッシュのパ・ド・ドゥ、ジプシーの踊りと見せ場が盛り込まれている。(エスパーダ/檜山和久、メルセデス/佐々木和葉)キトリとバジルの狂言自殺は第二幕の居酒屋で比較的早い段階で行われる。 最後は兜で顔を隠して<無名の騎士>に扮したバジルとドン・キホーテの決闘となる。あぶみに足を取られたドン・キホーテが負け、キトリとバジルは無事めでたく結ばれてグラン・パ・ド・ドゥを踊る。ボリショイ劇場の流れに連なるヴァージョンらしく、リフトをたっぷりと披露する緊迫感のあるシーンが見せ場となっていた。
佐藤麻利香のキトリは、全幕をしっかりと踊り切ってプリンシパルダンサーとしての力量を示したのは見事だった。小柄ながら運動神経が良く安心して見ていることができた。ただちょっとだけだが簡単に踊れ過ぎてしまうというか、動きの中に彼女らしい存在感を強くにじませる、というところまでは、もう少し踊りこんでいくことが必要なのかもしれない。あと1歩の経験を重ねていけばさらに磨きがかかって素晴らしいダンサーになるだろう。芸術監督でプリンシパルダンサーの齊藤拓も闊達に踊りながらも終始安定感のある舞台だった。ダブルキャストはキトリ/雨宮準、バジル/三木雄馬だった。
(2017年1月14日 東京文化会館)

佐藤麻利香、齊藤拓 撮影:谷岡秀昌(スタッフ・テス)

佐藤麻利香、齊藤拓
撮影:谷岡秀昌(スタッフ・テス)

撮影:谷岡秀昌(スタッフ・テス)

佐藤麻利香、齊藤拓
撮影:谷岡秀昌(スタッフ・テス)

撮影:谷岡秀昌(スタッフ・テス)

佐藤麻利香、齊藤拓
撮影:谷岡秀昌(スタッフ・テス)

撮影:谷岡秀昌(スタッフ・テス)

佐藤麻利香、齊藤拓
撮影:谷岡秀昌(スタッフ・テス)

雨宮準、三木雄馬 撮影:谷岡秀昌(スタッフ・テス)

雨宮準、三木雄馬
撮影:谷岡秀昌(スタッフ・テス)

ワールドレポート/東京

[ライター]
関口 紘一

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