フランスの有力バレエ評論家が選んだ、将来のパリ・オペラ座エトワール候補5人

ワールドレポート/パリ

三光 洋 Text by Hiroshi Sanko

パリ・オペラ座バレエ団は、10月に「ルドルフ・ヌレエフ」と「オペラ座のエトワール」という二つのプログラムで公演がいったん再開された。だが、再び、10月30日からパリに外出禁止令が施行された。こうして11月4日から28日までに組まれていたガルニエ宮の「現在の振付」(コレグラフィー・コンタンポレーヌ)は、全公演が中止となってしまった。そして、12月4日から2021年1月2日までバスチーユ・オペラで予定されている『ラ・バヤデール』が上演できるかどうか、今の時点ではまったく不明だ。
こうした中でフランスの日刊紙「レゼコー」(10月23日付)に、有力バレエ評論家で「パリ・マッチ」誌などにも寄稿をしているフィリップ・ノワゼットが「育成中の5人のエトワール」と題した記事で、次代を担うオペラ座の若手ダンサーを取り上げた。

まず名前が挙がったのは早熟の才能ですでにバレエファンの注目を浴びている、スジェのビアンカ・スクダモア(20歳)だ。オーストラリア出身で3歳からダンスを始めている。2018年カルポー賞受賞。
スクダモアと同じく2018年にヴァルナ国際バレエコンクールに出場した、イタリア人のプルミエール・ダンスール、フランチェスコ・ムーラ(23歳)。彼は10月の「ルドルフ・ヌレエフ」公演にも出場していた。https://www.chacott-jp.com/news/worldreport/paris/detail019007.html 2016年にはパリ・オペラ座振興会ダンス賞(AROP)、2018年にカルポー賞を受賞している。

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ビアンカ・スクダモア © Opéra national de Paris

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フランチェスコ・ムーラ © Opéra national de Paris

南西フランス・ジェルス県オーシュ生まれのロクサーヌ・ストヤノフ(25歳)は7歳でマケドニアの小さなダンス学校で踊り始めた。現在スジェだが、ソリストとして舞台で強い存在感を放っている。
2019年にストヤノフと同時にパリ・オペラ座振興会賞(AROP)を受賞したシモン・ル・ボルニュ(24歳)もスジェ。彼はアレクサンダー・エクマン振付の『プレイ』で注目を浴びた人。コンテンポラリー・ダンスを中心に活躍している。
また、パブロ・ルガサ(24歳)も6歳でダンスを始め、すでにプルミエール・ダンスールとして多くのソロを踊っている。

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ロクサーヌ・ストヤノフ
© Opéra national de Paris

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シモン・ル・ボルニュ
© Opéra national de Paris

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パブロ・ルガサ
© Opéra national de Paris

バレエ団は例年初冬に行われてきた年次昇級試験が新型コロナ禍で、2021年4月15日に延期されるという現状だが、次の時代のエトワールの座を目指すダンサーたちは休演期間中も熾烈な競争を繰り広げている。

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