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ダンサーの身体が発散する破格のエネルギーと視覚的な美によって強烈な印象を残した、ナハリンの『デカダンス』

ワールドレポート/パリ

三光 洋 Text by Hiroshi Sanko

Ballet de l'Opera national de Paris パリ・オペラ座バレエ団

"DECADANCE"Ohad NAHARIN 『デカダンス』オハッド・ナハリン:振付

9月初めのマーサ・グレアム舞踏団の引越公演につづいて、ガルニエ宮では9月28日から10月19日まで、『デカダンス』が上演された。振付を行ったオハッド・ナハリン(66歳)は現在、アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケルとともに欧州のコンテンポラリー・ダンス界で注目を集めている。

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© Opéra national de Paris/ Julien Behnamou

ナハリンはパリ・オペラ座バレエ団のために『デカダンス』を新たに再構成し、80分のスペクタクルにまとめあげた。この中で使われたのは『Mabul』(1992年発表) 、『Anapase』(1993年)、『Zachacha』(1998年)、『Nacharin's Virus』(2001年)、『Three』(2005年)、『Teophaza』(2006年)、『MAX』(2007年)、『Seder』(2007年)、『 Sadeh21』(2011年)という9つの作品だ。
男女合計30人のダンサーたちはみなジーンズをはき、素足で踊る。動きを急にストップさせたり、脚をガニ股のように湾曲させたりする。腕や脚を思い切って最大限の角度で開くこともある。動作はスピーディで緻密だ。
『Anapahse』からの抜粋では、ダンサー全員が黒い服を着て半円形に並べられた椅子に座り、ユダヤ教復活祭の音楽をヘブライ語で繰り返して歌いながら、上着、ついでズボン、そして椅子も後ろに投げ出していって、最後には下着一枚になる。ユダヤ教の保守主義者からは激しく非難されたそうだが、このシーンは全員が同じ動作を行うダンサーの身体と歌が発散する破格のエネルギーと、視覚的な美によって見る人に強烈な印象を残した。
また、ダンサーたちが舞台から平土間に降りて、自分のパートナーを選んで再度舞台に上がって踊る場面は、ガルニエ宮ではあまり見たことのない試みで、観客とダンサーとの一体化を狙ったようだ。
エトワールやプルミエール・ダンスールは参加せず、コール・ド・バレエの若手だけによる公演だったが、どのダンサーも全力を注いで熱演し、カーテンコールでは観客から熱狂的な拍手が送られていた。本公演は全日完売で興行面で大きな成功となった。
(2018年10月11日 ガルニエ宮)

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© Opéra national de Paris/ Julien Behnamou

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© Opéra national de Paris/ Julien Behnamou

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© Opéra national de Paris/ Julien Behnamou

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© Opéra national de Paris/ Julien Behnamou

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© Opéra national de Paris/ Julien Behnamou

『デカダンス』(レパートリー入り)
音楽 デイヴィッド・ダ=リング、オハッド・ナハリン他
振付 オハッド・ナハリン
装置・照明 アヴィ・ヨナ・ブエノ
意匠 レイクフェット・レヴィ
音楽は録音を使用
ダンサー(10月11日)
マリオン・バルボー、アリス・カトネ、オーバーヌ・フィルベール、シルヴィア・サン=マルタン、イダ・ヴィキンコスキー、カトリーヌ・ヒギンズ、ジュリエット・イレール、カロリーヌ・オズモン、カミーユ・ド・べルフォン、セリア・ドゥルーイ、マリオン・ゴーチエ・ド・シャルナセ、クレマンス・グロス、エロイーズ・ジョックヴィエル、ソフィア・ロゾリーニ、セ=ホー・ユン 

オーレリアン・ウエット、パブロ・ラガサ、マルク・モロー、フランチェスコ・ムーラ、ニコラ・ポール、ジェレミー=ルー・ケール、ダニエル・ストークス、イヴォン・ドゥモル、アントワーヌ・キルシャー、ミカエル・ラフォン、シモン・ル・ボルニュ、ユゴー・ヴィリオッティ、タケル・コスト、ジュリアン・ギユマール、アントナン・モニエ、アンドレア・サーリ

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