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フランスとロシアで創られたプレルヨカーユ『千年の平穏が続くだろう』

ワールドレポート/パリ

三光 洋
text by Hiroshi Sanko

Theatre national de Chaillot シャイヨ国立劇場

ANGELIN PRELJOCAJ Suivront mille ans de calme
アンジュラン・プレルヨカーユ振付『千年の平穏が続くだろう』
Ballet Preljocaj Thêatre du Bolchoï 
プレルヨカーユ・バレエ団 ボリショイ・バレエ団

この秋のフランスのダンス界で最も注目されたプレルヨカーユの新作が、モスクワのボリショイ劇場、リヨンのビエンナーレ・ド・ラ・ダンスに続いてパリのシャイヨ国立劇場で上演された。
プレルヨカーユは聖ヨハネの『黙示録』を繰り返し読んできた。「ギリシャ語で『黙示』とは<覆いとなっている布を引き上げる>を意味します。世界に存在しながら、私たちの目には見えていないものを明らかにすること。私たちの恐怖、不安、希望を写真が目では見えないものを感光するように、身体によって表現しようとしました。」とプレルヨカーユはプログラムのインタヴューで語っている。エクサンプロヴァンスで二ヵ月間、それからモスクワでさらに二ヵ月間のリハーサルによって、休憩なし1時間半の大作が作られた。

「千年の平穏が続くだろう」 (C)JC Carbonne 

「千年の平穏が続くだろう」 (C)JC Carbonne 

D・J・ローラン・ガルニエのテクノ音楽が耳をつんざく。強弱の音量のコントラストを特徴とする叩き付けるようなリズムだ。11人のプレルヨカーユ・バレエ団と10人のボリショイ・バレエ団のダンサーが照明により格子状になった舞台で、肌の色に近いタイツをまとって、彫像のような硬い動きを見せる。やがて、暴力的な音とムーヴメントに続いて、ベートーヴェンの『月光ソナタ』とともに、ゆったりとした柔らかな動きに一転する。
「強と弱」、「静と動」、「パ・ド・ドゥやトリオと群集」といったコントラストによって枠組みが作られているのかと最初は思ったが、時間が経過しても、作品の構造は一向に見えてこなかった。

例えば、ずらりと舞台前方に並んだ女性たちが激しい動きで前衛的な闘争を繰り広げたかと思うと、洗濯台に屈みこんで国旗を洗い、床に広げるシーンがあったが、演出家の意図は前後のコンテクストに照らしても、はっきり伝わってこなかった。
天井から鎖が床に向かってダンサーの身体の間近に落下する場面や、鏡になった可動式の壁に身体を打ち付けての男女のエロティックなパ・ド・ドゥ、躍動的なアンサンブルと、個々のシークエンスは印象的なプレルヨカーユならではの緊迫感のある部分が少なくなかっただけに、全体として振付家のメッセージが収斂されないのが惜しまれた。
(2010年10月3日 シャイヨ国立劇場)

「千年の平穏が続くだろう」 (C)JC Carbonne 

「千年の平穏が続くだろう」 (C)JC Carbonne 

Photos:(C)JC Carbonne

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