50周年記念ローザンヌ国際バレエコンクールは、セレクション・ラウンドを22人が通過 日本人は4人がファイナルに出場

ワールドレポート/その他

アンジェラ・加瀬  Text by Angela Kase

2月3日、改装が済んだローザンヌ市ボーリュ劇場にて、第50回記念のローザンヌ国際バレエコンクールのセレクション・ラウンドが行われた。
参加したのは世界18か国よりビデオ審査を通過したティーン82名。
午前9時半から行われた15〜17歳以下のAグループには、15歳になったばかりの男女の多くに才能やスター性あふれる参加者が多く、目を見張らされた。午後2時半から行われた17〜19歳までのBグループの最初の古典バリエーションを観終わった段階で、今年のコンクールのレベルが高く、参加者の技量が拮抗する激戦の年であることに気が付く。
例年であれば決選に進める好感度が高く豊かな将来性を有したティーンより、今年は技術や芸術性、スター性の高い参加者が選ばれファイナルに進むのだろうか? このような年の審査はさぞ大変であろう、と審査員の心情を思った。
国別で見ると、ここ最近の傾向通りアジア勢では韓国から才能にあふれ容姿の良い参加者が多く、また中国勢のプロポーションの良さが目立ち、中南米ではブラジル以外にもメキシコからの参加者が印象に残った。また、ヨーロッパに目を向けるとイタリアからの参加者数が多かった。
客席にはスイスのバーゼル劇場バレエ・スクールより多数の応援団が駆けつけており、同学校から参加の友だちが踊った後には大声援が送られた他、他国より参加のティーンで目覚ましい実技を披露する者たちにも観客席から盛んな歓声や口笛が響きわたり、大変活気があった。
結果発表は夜7時15分で下記の22名の決選進出が決まった。

101 ラザレスク・アレシア・マリア:15歳 ルーマニア
102 斎藤 杏:15歳1か月 日本
103 パク・ソハ:15歳 韓国
114 スプラウト・エミリー:16歳2か月 オーストラリア
201 宮崎 圭介:15歳 日本
204 ガイヴス:ウィリアム:15歳7か月 アメリカ
207 ヴィエイラ・テレス・ヴェンデル:15歳9か月 ブラジル
210 デル・ベニート・ミラン:15歳11か月 スペイン
212 モックリッシュ・アレクサンダー:16歳7か月 スェーデン
309 キム・セヒュン:17歳7か月 韓国
310 ジョイナー・ジュリー:17歳8か月 アメリカ
314 ネグラオ・アナ・ルイーザ:18歳1か月 ブラジル
317 田邊 陽奏:18歳8か月 日本
318 キム・ソ・ミン:18歳9か月 韓国
320 パク・サングオン:18歳10か月 韓国
406 デ・ポンテ・ダヴィッド:17歳6か月 イタリア
413 ヴェンテューラ・ジョゼッペ:18歳1か月 イタリア
414 スタックウィシュ・フレデリク:18歳1か月 アメリカ
416 井嶋 奏太:18歳2か月 日本
421 ザネテ・ペレーズ・アマウリ:18歳4か月 メキシコ
423 ヤン・チュン・フン:18歳9か月 香港

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斎藤杏 © Angela Kase

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宮崎圭介 © Angela Kase

斎藤杏はデパルク・バレエスクール、宮崎圭介はワクイ・バレエスクール、田邊陽奏はスイスのチューリッヒ・ダンス・アカデミー、井嶋奏太はドイツのドレスデンにあるパルッカ・ダンス・アカデミーに留学中。
例年そうだが、古典ヴァリエーションを踊りこなせても、コンテンポラリー・ヴァリエーションとの踊り分けが出来ない参加者はすべて淘汰された。
決選に残れなかった日本人参加者に目を向けると、Aグループの松丸凛(アクリ堀本バレエ・アカデミー16歳6か月)は、好感度が高く将来性も豊かで例年であれば問題なく決選進出できたであろう。またBグループ最後に踊った小林侑聖(ベルリン国立バレエ学校18歳11か月)は古典ヴァリエーションで転倒があったものの、容姿も良く勢いもあり強い印象を残した。年齢的にも19歳に近くこのコンクールで受賞しなくとも「スクール卒業後、問題なく欧米でプロになれる才能あり」と審査員に判断された結果かもしれない。
決選の結果が待たれる。

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田邊陽奏 © Angela Kase

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井嶋奏太 © Angela Kase

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