勅使川原三郎がヴェネチア・ビエンナーレ・ダンス部門授賞式で金獅子功労賞を授与された
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香月 圭 text by Kei Kazuki
ヴェネチア・ビエンナーレ・ダンス部門授賞式で金獅子功労賞を手にした勅使川原三郎
© la biennale di Venezia photo by Andrea Avezzù
7月23日、イタリア・ヴェネチアのテアトロ・ピッコロ・アルセナーレで、勅使川原三郎がヴェネチア・ビエンナーレ・ダンス部門授賞式に出席し、ディレクターのウェイン・マクレガーより金獅子功労賞を授与された。マクレガーは勅使川原について「勇敢で比類なき存在であり、人間味に溢れるがスリリングでもある」と評し、「何世代にも渡るダンス創作者たちに刺激を与えてきた」ことを授賞理由としている。
勅使川原は受賞スピーチの冒頭で劇場の関係者、プロデューサー、テクニシャンなど、あらゆる方面の関係者への感謝を述べたあと、「そして最後に、この賞を佐東利穂子に捧げます。若い皆さん、皆さんには多くのチャンスがあります。もし、何か困難に出会ったなら、孤立することを選び、恐れることを選び、あなたらしくいてください。独自であることは、何かを成し遂げるうえで最も強い状態なのです。」と結んだ。会場は勅使川原と、同席していた佐東利穂子へ称賛の大きな拍手に包まれたという。
7月22日にヴェネチア・ビエンナーレのマリブラン劇場で、欧州初演となった『ペトルーシュカ』の舞台では、勅使川原の顔はマスク状のもので覆われていた。3月に東京で披露した初演版では仮面をつけていなかった。
「(勅使川原の)腕の乾いた素早い動きにはフォーキンが編み出した典型的な人形のポール・ド・ブラを思い起こさせる。孤独のなかでの閉所恐怖症の苦悶を表現したのもオリジナルの振付の引用である:ニジンスキーのように彼もまた壁を打ち叩く。...(中略)...フォーキンは第一場で芝居小屋の周辺を客観的に活写した後に、大胆に視点を変えて第ニ場でペトルーシュカの内面の苦しみを主観的に描いたのに対し、勅使川原が人形の内面の苦悩の描写に集中したのは実に興味深い」といった論評も見られた(イギリスの音楽情報Webサイト「bachtrack」シルヴィア・ポレッティ)。
『ペトルーシュカ』勅使川原三郎、ヴェネチア・ビエンナーレ
© la biennale di Venezia photo by Andrea Avezzù
『ペトルーシュカ』佐東利穂子、ヴェネチア・ビエンナーレ
© la biennale di Venezia photo by Andrea Avezzù
「ビエンナーレカレッジ」プロジェクトでは勅使川原はヴェネチアに滞在し、16名の若いダンサーたちと1ヶ月間のワークショップを行い、『Swing』という新作を創作した。佐東がアシスタントを務め、スタジオ・ウェイン・マクレガーのオデット・ヒューズがビエンナーレカレッジ・コーディネーターおよび現地リーダーを務めた。この作品は7月24日に上演された。
イタリアから帰国後、勅使川原は本拠地カラス・アパラタスで、1970年代に活躍したアメリカのバンド「ブレッド」の繊細な曲に想を得た『If』のパフォーマンスを行う(8月5日〜8月14日)。また彼が芸術監督を務める愛知県芸術劇場では次の二公演が控えている。勅使川原が構成・演出・振付を行い、地元のダンサーが出演する『風の又三郎』の再演(9月3日、4日);「勅使川原三郎 ライヴミュージック&ダンス『天上の庭』」(9月16日、17日)ではチェリスト、ヨナタン・ローゼマンの生演奏に合わせて勅使川原と佐東がダンサーとして出演する。
◆ヴェネチア・ビエンナーレ公式サイト:ダンス部門授賞式のニュース
https://www.labiennale.org/en/news/2022-lion-awards-dance
◆KARAS公式サイト
https://www.st-karas.com/
◆愛知県芸術劇場公式サイト
https://www-stage.aac.pref.aichi.jp/index.html
『ペトルーシュカ』左より佐東利穂子、勅使川原三郎、ヴェネチア・ビエンナーレ
© la biennale di Venezia photo by Andrea Avezzù
『ペトルーシュカ』勅使川原三郎、ヴェネチア・ビエンナーレ
© la biennale di Venezia photo by Andrea Avezzù
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