ペルミ国際バレエコンクールで森井美陽がシニア部門女性第2位入賞を果たした!

ワールドレポート/その他

香月 圭 text by Kei Kazuki

4月19日〜30日まで第17回ペルミ国際バレエコンクール(正式名称:第17回エカテリーナ・マクシーモワ記念オープン・ロシア・バレエコンクール「アラベスク-2022」)が開催され、ペルミ国立バレエ学校に留学中の森井美陽がシニア女性部門の第2位となった。そのほかには、同じくペルミ国立バレエ学校で学ぶ福岡璃乃が最終決選となる第三次審査に進出し、ディプロマを授与された。また、福岡は音楽性と芸術性を高く評価され、プレス審査員賞も授与された。そして、ロシア連邦中央部バシコルトスタン共和国の首都ウファのバシキール国立オペラ・バレエ劇場のソリストとして活躍中の小野寺正太が、コンクール参加者のデュエットのパートナーとして出場し(彼自身は審査対象外)、「ベスト・パートナー」ディプロマを授与された。さらに、プレス審査員からは彼の芸術性に対して高い評価が集まり、ディプロマが贈呈された。審査員長はウラジーミル・ワシーリエフが務めた。プレス審査員のVioletta Mainieceは「いつものように、フェミニンで優雅でありながら卓越した技能を誇る日本の若い女性ダンサーたち――今回は森井美陽と福岡璃乃――は毎回、多くの人の羨望の的である」と評している。ジュニア女性部門で優勝したヴァレリア・クズネツォワはロシアのホープ賞である「ディアギレフ・ハウス賞」とプレス審査員賞、観客賞を受賞した。

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森井 美陽、キリル・ジグリン『無益な用心』© Nikita Chuntomov

ロシアによるウクライナ侵攻勃発前の2月10日付の集計では、17カ国、ロシアからは25都市から、世界の28か所の劇場、バレエスクール27校から合計245名の応募が集まっていた。実際にコンクールに参加したのは56名で、ロシアから51名、日本2名、その他の国はトルコ、ギリシャ、フランスとなっている。ロシアからの参加者51名のうち、地元ペルミから20名、モスクワ 7名、ウファ5名と続く。二次審査には46名が進出、最終審査の第三ラウンドでは32名による決選となった。

ペルミ出身のセルゲイ・ディアギレフが今年生誕150年を迎えたことを記念して、ワシーリエフは今回大会の初日、4月19日に「セルゲイ・ディアギレフへのオマージュ」と題した公演を行った。前回(2020年)のこのコンクールの振付部門の4人の入賞者たち(ユリア・バチェバ、アレクサンダー・モギリョフ、ユリア・レピツィナ、アレクセイ・ラストルゲフ)が、ラヴェル、リャドフ、ドビュッシー、チェレプニンというバレエ・リュスゆかりの4人の作曲家の楽曲を用いた新作を発表した。

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福岡 璃乃『エスメラルダ』第二幕 ダイアナのバリエーション ©Andrey Chuntomov

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小野寺正太、アリサ・アレクセーエワ『ラ・シルフィード』 ©Andrey Chuntomov

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ヴァレリア・クズネツォワ、オレグ・マンガダエフ『白鳥の湖』© Nikita Chuntomov

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「ディアギレフへのオマージュ」公演 © Gunay Musayeva

第17回エカテリーナ・マクシーモワ記念オープン・ロシア・バレエコンクール「アラベスク-2022」結果
Results of the XVII Open Russian Ballet Competition "Arabesque-2022" named after Ekaterina Maksimova

●エカテリーナ・マクシーモワ・グランプリ:該当者なし

●ジュニア・グループ(13〜17歳)
第1位(女性):ヴァレリア・クズネツォワ VALERIA KUZNETSOVA(ロシア、ペルミ)
第1位(男性):該当者なし
第2位(女性):ダリア・チュグノワ DARIA CHUGUNOVA (ロシア、ペルミ)
第2位(男性):イワン・オディンツォフ IVAN ODINTSOV (ロシア、ヤクーツク)
第3位(女性):アンジェリーナ・カラミシェワ ANGELINA KARAMYSHEVA(ロシア、サンクトペテルブルク)、ディアナ・トヴチン DIANA TOVTYN (ロシア、ペルミ)
第3位(男性):該当者なし

●シニア・グループ(18〜25歳)
第1位(女性):アレシア・ラザレワ ALESYA LAZAREVA (ロシア、モスクワ)
第1位(男性):ゲオルギー・エナルディエフ GEORGY ENALDIEV(ロシア、ペルミ)
第2位(女性):森井 美陽 MIHIRO MORII(日本)、ラジーリャ・ムルザコワ Murzakova Razilya(ロシア、ウファ)
第2位(男性):オレグ・マンガダエフ OLEG MANGADAEV (ロシア、ペルミ)、クレマン・ギヨーム CLEMENT GUILLAUME(フランス)
第3位(女性):アリサ・アレクセーエワ ALISA ALEKSEEVA(ロシア、ウファ)、ヴェロニカ・ステルホワ VERONIKA STERHOVA(ロシア、ペルミ)
第3位(男性):ゲオルギー・ボルスノフスキー GEORGY BOLSUNOVSKY(ロシア、クラスノヤルスク)

●ディプロマ
ベスト・パートナー:小野寺正太 SHOTA ONODERA(ロシア、ウファ)
最優秀教師‐コーチ:ペルミ舞踊学校の教師陣

●コンクール参加者へのディプロマ
クセニア・アブドゥルカリモワ KSENIA ABDULKARIMOVA (ロシア、モスクワ)
ドガ・ス・アクタス DOGA SU AKTAS(トルコ)
マリア・バンニコワ MARIA BANNIKOVA(ロシア、ペルミ)
アレクサンドラ・ボグダノワ ALEXANDRA BOGDANOVA (ロシア、ウラン・ウデ)
アルダール・ボルタノフ ALDAR BOLTANOV(ロシア、ウラン・ウデ)
セルゲイ・ブカーチン SERGEY BUKATIN(ロシア、サラトフ)
ウリヤーナ・ヴァシルチェンコ ULYANA VASILCENKO(ロシア、モスクワ)
アナスタシア・クプツォワ ANASTASIA KUPTSOVA(ロシア、ウファ)
デニス・マザノフ DENIS MAZANOV(ロシア、ペルミ)
アルテミー・マカロフ ARTEMY MAKAROV(ロシア、ペルミ)
マクシム・モロゾフ MAXIM MOROZOV(ロシア、ペルミ)
ヴェロニカ・ネチャイェワ VERONIKA NECHAYEVA(ロシア、ニズニー・ノブゴロド)
アリシア・パク ALISIA PAK(ロシア、ヤクーツク)
ダリア・プラトーノフ DARIA PLATONOV (ロシア、モスクワ)
ハインリヒ・レイニク HEINRICH REINIK(ロシア、ペルミ)
ゲオルギー・ステルマフ GEORGY STELMAKH (ロシア、モスクワ)
ヴァルヴァラ・テレシナ VARVARA TERESHINA (ロシア、モスクワ)
福岡 璃乃 RINO FUKUOKA(日本)

●エカテリーナ・マクシーモワとウラジーミル・ワシーリエフ賞「コンクールのベスト・デュエットへ」
Prize of Ekaterina Maksimova and Vladimir Vasiliev "To the best duet of the competition" :該当者なし

●ガリーナ・ウラノワ賞「ダンスの精神性に対して」Prize named after Galina Ulanova "For the spirituality of the dance" :アレシア・ワザレワ(ロシア、モスクワ)

●ゲオルギー・ゾリッチ賞「テクニックの正確さと演技の芸術性に対して」Georgy Zorich Prize "For the purity of technique and artistry of execution" :ウリヤーナ・ヴァシルチェンコ(ロシア、モスクワ)

●ナタリア・ドゥジンスカヤ賞「ロシア・バレエの伝統への忠実さに対して」(マルガリータ・クリークとウラジーミル・キムのデュエットによって設けられた):ヴェロニカ・ステルホワ(ロシア、ペルミ)、アルダール・ボルタノフ(ロシア、ウラン・ウデ)

●ディアギレフ・ハウス賞「ロシアのホープ賞」:ヴァレリア・クズネツォワ(ロシア、ペルミ)

●プレス審査員賞:ヴァレリア・クズネツォワ(ロシア、ペルミ)、ゲオルギー・エナルディエフ(ロシア、ペルミ)

●プレス審査員ディプロマ
クレマン・ギヨーム(フランス):ロシアのクラシックの名作の演技におけるマナーの高貴さとスタイルの純粋性に対して
エレーナ・シュチェグロワ ELENA SHCHEGLOVA(ロシア、ペルミ):コンクール参加の準備を担当した教師‐コーチ
福岡 璃乃 RINO FUKUOKA(日本):踊りの音楽性と表現力に対して
小野寺正太 SHOTA ONODERA(ロシア、ウファ):コンクール参加者のパートナーとして出場。その芸術性に対して。

●観客賞:ヴァレリア・クズネツォワ VALERIA KUZNETSOVA(ロシア、ペルミ)

◆エカテリーナ・マクシーモワ記念オープン・ロシア・バレエコンクール「アラベスク」公式サイト
https://arabesque-perm.ru/en/

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