惜しまれて逝ったカルラ・フラッチを偲ぶ「フラッチ・ガラ Gala Fracci」がミラノ・スカラ座で開催される

ワールドレポート/その他

香月 圭 text by Kei Kazuki

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カルラ・フラッチ

昨年5月に逝去した20世紀を代表するバレリーナ、カルラ・フラッチの功績を讃え、ミラノ・スカラ座では「フラッチ・ガラ Gala Fracci」と題した追悼公演を4月9日に上演する。
芸術監督マニュエル・ルグリの監修のもと、彼女の魅力的な役作りで後世まで語り継がれる名演を残した作品群(『ジゼル』『ラ・ペリ』『くるみ割り人形』『シンフォニー・イン・C』『オネーギン』『メリー・ウィドウ』、『カチューシャ』『瀕死の白鳥』『眠れる森の美女』)と、数々の初演作品(コレット原作、プティ振付、マッシモ・ムル共演の1996年初演『シェリ』、フェリーニの1954年の映画を基にしたバレエ『道』[1967年]、ベジャールの『恍惚の時』[1998年])、そしてウーゴ・デッラーラによる復元版『エクセルシオール』、ヌレエフと1980年に踊った『ロミオとジュリエット』が選ばれた。出演するのはアレッサンドラ・フェリ、マリアネラ・ヌニェス、スヴェトラーナ・ザハーロワ、ロベルト・ボッレ、カーステン・ユング、そしてオルガ・スミルノワ。
ルグリはウィーン国立バレエで「ヌレエフ・ガラ」を立ち上げ、毎年の恒例行事に成長させた功績がある。フラッチの名を関した今回のガラについても、同じように毎年開催されるようになることが期待される。

また、ミラノのカルカーノ劇場でもフラッチの夫ベッペ・メネガッティ演出・監修、フラッチ夫妻と親交の深かった振付家・バレエマスターであるサブリナ・ボスコが芸術監督補佐およびメートル・ド・バレエを務める「カルラ・フラッチ・ガラ〜Adieu...Au revoir」が3月4日に開催される。出演はミラノ・スカラ座バレエのプリンシパル、マルティナ・アルドゥイーノとマルコ・アゴスティーノ。ハンガリー国立歌劇場バレエからタチアナ・メルニクとアンドラーシュ・ロナイ。ナポリ・サン・カルロ劇場元芸術監督で、12歳のときにメネガッティに抜擢され、1987年のサン・カルロ劇場公演『ニジンスキー』でフラッチとウラジーミル・ワシーリエフと共演し、少年時代のニジンスキーを演じたジュゼッペ・ピコーネなど。

「フラッチ・ガラ Gala Fracci」

2022年4月9日 ミラノ・スカラ座
監督:マニュエル・ルグリ
ゲスト出演:アレッサンドラ・フェリ、マリアネラ・ヌニェス、オルガ・スミルノワ、スヴェトラーナ・ザハーロワ、ロベルト・ボッレ、カーステン・ユング

《プログラム》
『ジゼル』より
音楽:アドルフ・アダン 振付:ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー 復元:イヴェット・ショヴィレ
『エクセルシオール』より
音楽:ロムアルド・マレンコ 振付:ウーゴ・デッラーラ
『シェリ』より 
音楽:フランシス・プーランク 振付:ローラン・プティ
『ロミオとジュリエット』より
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ 振付:ルドルフ・ヌレエフ
『L'heure exquise 恍惚の時』
音楽:グスタフ・マーラー 振付・演出:モーリス・ベジャール
出演:アレッサンドラ・フェリ、カーステン・ユング
『メリー・ウィドウ』より
音楽:フランツ・レハール 振付:ロバート・ハインド
出演:マリアネラ・ヌニェス、ロベルト・ボッレ
『くるみ割り人形』
音楽:ピョートル・I・チャイコフスキー 振付・演出:ルドルフ・ヌレエフ
『道』より
音楽:ニーノ・ロータ 振付:マリオ・ピストーニ
『ラ・ペリ』より
音楽:フリードリヒ・ブルグミュラー 振付:ジャン・コラーリ 復元:ロリス・ガイ
『カチューシャ』
振付:ジャン・コラーリ 音楽:カジミール・ジッド
『眠れる森の美女』より
振付:ルドルフ・ヌレエフ 音楽:ピョートル・I・チャイコフスキー
出演:マリアネラ・ヌニェス
『オネーギン』より
振付:ジョン・クランコ 音楽:ピョートル・I・チャイコフスキー
出演:オルガ・スミルノワ、ロベルト・ボッレ
『瀕死の白鳥』
振付:ミハイル・フォーキン 音楽:カミーユ・サン=サーンス
出演:スヴェトラーナ・ザハーロワ
『シンフォニー・イン・C』より
振付:ジョージ・バランシン© School of American Ballet 音楽:ジョルジュ・ビゼー

●ミラノ・スカラ座公式サイト「フラッチ・ガラ」紹介ページ
https://www.teatroallascala.org/en/season/2021-2022/ballet/gala-fracci.html

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「カルラ・フラッチ・ガラ Adieu... Au revoir」

2022年3月4日 カルカーノ劇場(ミラノ)
芸術監督補佐およびメートル・ド・バレエ:サブリナ・ボスコ Sabrina Bosco
演出・監修:ベッペ・メネガッティBeppe Menegatti

出演:
タチアナ・メルニク Tatiana Melnik(ハンガリー国立歌劇場バレエ)
アンドラーシュ・ロナイ Andras Ronai(ハンガリー国立歌劇場バレエ )
マルティナ・アルドゥイーノ(ミラノ・スカラ座バレエ)
マルコ・アゴスティーノ(ミラノ・スカラ座バレエ)
ジュゼッペ・ピコーネ Giuseppe Picone(サン・カルロ劇場元芸術監督)
リュドミラ・コノワロワ Liudmila Konovalova(ウィーン国立バレエ)
グロリア・ブッツィ Gloria Buzzi(ブルガリア国立スタラ・ゴザラ・バレエ)
クラウディア・ラダコフスカ Klaudia Radacovska(チェコ国立ブルノ歌劇場バレエ)
アルトゥール・アブラム Arthur Abram(チェコ国立ブルノ歌劇場バレエ)
マリアンナ・スリアーノ Marianna Suriano(ローマ歌劇場バレエ)
アイナラ・カルドソ Ainara Cardoso(王立マリエンマ舞踊専門学院[マドリッド])
フェデリコ・メッラ Federico Mella(ミラノ・バレエ)

●カルカーノ劇場公式サイト「カルラ・フラッチ・ガラ」紹介ページ
https://www.teatrocarcano.com/gala-carla-fracci/

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