ENB加瀬栞がリード・プリンシパルに、オランダ国立バレエ 坂本莉穂とフィラデルフィア・バレエ 伊勢田由香がプリンシパルに昇進!

ワールドレポート/その他

香月 圭 text by Kei Kazuki

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リード・プリンシパルに任命された加瀬栞
Shiori Kase is promoted to Lead Principal dancer at English National Ballet © Ian Gavan

海外で活動する日本人ダンサーたちの昇進ニュースが相次いでいる。イングリッシュ・ナショナル・バレエでは、1月22日『ライモンダ』に主演したプリンシパル 加瀬 栞が、芸術監督タマラ・ロホからリード・プリンシパルへの昇進を告げられた。舞台にいた出演者たちや観客たちからは盛大な拍手が贈られた。加瀬はクリミア戦争を舞台にしたロホによる新演出版『ライモンダ』の1月18日初日キャストを務め、「愛らしく、詩情あふれるライモンダで、このヒロインの様々なジレンマをさりげなくもはっきりと表現していた。彼女のフットワークは強靭でありながら、腕はあまりにも優美なため、ときには空中を浮遊しているかのようだった」(デイリー・テレグラフ)と絶賛されていた。この発表の前日には、同演目の21日終演後、主演したファースト・ソリストのエマ・ホーズ Emma Hawesとアイトール・アリエタ Aitor Arrieta がそれぞれプリンシパルに昇進することがロホよりアナウンスされたばかりだった。
加瀬 栞は3歳よりバレエを始め、9歳より千葉県松戸市の広瀬・加藤バレエスタジオに所属。2006年ユース・アメリカ・グランプリ・ニューヨークファイナル ジュニアの部で3位となり、英国ロイヤル・バレエスクールよりスカラシップ賞を授与され、3年間同校にて学ぶ。イングリッシュ・ナショナル・バレエには2009年入団。2011年のカンパニー内の新人コンクールにてエマージング・ダンサー賞を受賞(この年にはワディム・ムンタギロフも出場している)。2013年ソリスト、2014年ファースト・ソリスト、2016年にプリンシパルへと昇進を果たす。2014年ジャクソン国際バレエコンクールではシニア女子の部で金賞受賞。2015年には文化庁長官賞を受賞している。イングリッシュ・ナショナル・バレエでは『白鳥の湖』のオデット/オディール、『くるみ割り人形』のクララ/金平糖の精、『海賊』のメドーラ、『シンデレラ』のタイトル・ロールなど数多くの主役を務めている。

イングリッシュ・ナショナル・バレエ公式サイト:加瀬栞ほかの昇進ニュース
https://www.ballet.org.uk/blog-detail/congratulations-promotions/

加瀬栞インスタグラム:リード・プリンシパル昇進時の投稿
https://www.instagram.com/p/CZE0Chbo9Gj/

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昇進発表時、ロンドン・コロシアムにて観客に挨拶する加瀬栞
Shiori Kase is promoted to Lead Principal dancer at English National Ballet © Ian Gavan

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『マタ・ハリ』坂本莉穂-オランダ国立バレエ
Dutch National Opera -Mata Hari-Riho Sakamoto© Altin Kaftira

昨年12月15日、オランダ国立バレエでは『くるみ割り人形』終演後、芸術監督テッド・ブランセンがクララ役でこの日デビューしたソリストの坂本莉穂をプリンシパルに昇進すると発表した。ブランセンは彼女について「盤石のテクニックと音楽性」が魅力と称賛し、「短期間の間に芸術性も含めて飛躍的に成長した」と語った。英国の舞踊評論WebサイトSeeingDanceでは「説得力のある魅力、繊細な音楽性、超強力なテクニックに恵まれ、ジャンプには刺激的な弾力性がある。彼女の笑顔の温かさが劇場を満たす」と評した。『くるみ割り人形』以前には『眠れる森の美女』と『ジゼル』、『マタ・ハリ』の主役を務めている。奈良県出身の坂本は、4歳からバレエを学び始めた。2008年、10歳のときアメリカのワシントン・キーロフ・アカデミー・オブ・バレエの夏期講習に参加し、同校のスカラーシップを受けてエレーナ・テンチコワ、ニコロズ・マッカテリ(オランダ国立バレエ プリンシパル マイア・マッカテリの父)などに師事。2014年 に学校長賞を得て卒業。2010年、11歳の時、ユース・アメリカ・グランプリ・ニューヨーク・ファイナルにてプリコンペティティブ部門 金賞を受賞。2014年、16歳でオランダ国立ジュニア・バレエ・カンパニーに入団し、翌年オランダ国立バレエへÉlève(エレヴ:研修生)として移籍。2016年コール・ド・バレエ、2017年コリフェ、2018年グラン・スジェ、2019年ソリストと毎年のようにステップアップを成し遂げ、そして2021年12月15日ついにプリンシパルとなってバレエ団トップの座に上り詰めた。

オランダ国立バレエ公式サイト:坂本莉穂のプリンシパル昇進のニュース
https://www.operaballet.nl/en/news/riho-sakamoto-promoted-principal

オランダ国立バレエ公式 Facebook
テッド・ブランセンが坂本莉穂のプリンシパル昇進を発表した際の動画
https://www.facebook.com/nationaleoperaballet/videos/3019541881636032/

坂本莉穂インスタグラム
https://www.instagram.com/p/CXhJ6WBosxh/

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『ジゼル』坂本莉穂-オランダ国立バレエ
Dutch National Opera-Giselle-Riho Sakamoto ©Altin Kaftira

オランダで坂本莉穂の昇進が決定した翌日、アメリカのフィラデルフィア・バレエ(旧ペンシルヴァニア・バレエ)では、ファースト・ソリストの伊勢田由香がバランシン版『くるみ割り人形』に主演し、芸術監督アンヘル・コレーラからプリンシパルへの昇進が発表された。コレーラは「由香は今まで出会った中で最も誠実な人であり、それは彼女のパフォーマンスにも表れています。彼女の純粋な魂と快活さから、軽やかな踊りが生まれます。彼女の公演では毎回新しい発見があります」とコメントしている。伊勢田は東京のエコール・ド・バレエ「パック」で畑野朋子、堀江けんいちのもと、5歳からバレエを始めた。慶応大学仏文科卒業後、ドレスデン・バレエに入団。その後、オランダ国立バレエ、ノルウェー国立バレエ、アメリカのタルサ・バレエ、マドリッドのカルメン・ロッチェ バレエ、バルセロナ・バレエに在籍。バルセロナ・バレエのアメリカ・ツアーでは監督アンヘル・コレーラと『白鳥の湖』に主演。2016年よりコレーラ率いるペンシルバニア・バレエに移籍し、2018/19シーズンにソリスト、2019/20シーズンにファースト・ソリスト、2021年12月16日改称したフィラデルフィア・バレエのプリンシパルに任命される。ペンシルヴァニア・バレエ/フィラデルフィア・バレエではバランシン版『くるみ割り人形』の金平糖の精、アンヘル・コレーラ版『海賊』のメドーラ、『白鳥の湖』のオデット/オディール、『ジゼル』のタイトル・ロール、『ドン・キホーテ』のキトリ、『ラ・バヤデール』のニキヤなどを踊る。その他、ジュリアーノ・ヌネスの "Connection"、ギャレット・スミスの"Reverberance"の世界初演キャストとして出演、またジェローム・ロビンズの『檻』のノヴィスを演じた。

フィラデルフィア・バレエ公式サイト 伊勢田 由香 紹介ページ
https://philadelphiaballet.org/dancers/yuka-iseda/

フィラデルフィア・バレエ公式Facebook
アンヘル・コレーラが伊勢田 由香プリンシパル昇進を発表した際の動画
https://www.facebook.com/philadelphiaballet/videos/274287864731414/

伊勢田 由香インスタグラム:昨年12月を振り返る1月2日の動画
https://www.instagram.com/p/CYMEVZaNNIm/

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