英国ロイヤル・バレエが金子扶生のプリンシパル、佐々木万璃子のファースト・アーティストへの昇進を発表した

ワールドレポート/ロンドン

アンジェラ・加瀬  Text by Angela Kase

5月18日、英国ロイヤル・バレエ団芸術監督ケヴィン・オヘアより昇進者の発表があった。
詳細は下記の通り。

●プリンシパル
金子扶生
セザール・コラーレス

●ファースト・ソリスト
メガン・グレース・ヒンキス
カルヴィン・リチャードソン
ニコル・エドモンズ

●ソリスト

ジーナ・ストーム・ジャンセン
ジョゼフ・シセンズ

●ファースト・アーティスト
レティシア・ディアス
佐々木万璃子
ハリー・チャーチズ

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金子扶生「シルヴィア」テレプシコール
ROH2018 Photo by Angela Kase

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セザール・コラーレス「マノン」レスコー
ROH2020 Photo by Angela Kase

金子扶生は両膝の負傷さえ無ければ、何年も前にプリンシパル昇進を果たしていただろうと言われた逸材。容姿の良さ、舞踊技術、スター性、天性の演技力と、英国ロイヤル・バレエのプリマが必要とするあらゆる魅力を兼ね備えたバレリーナだ。
セザール・コラーレスはイングリッシュ・ナショナル・バレエから移籍直後に、ナターリア・オーシポワと『ラ・バヤデール』を踊ってロイヤル・オペラ・ハウス・デビュー。その後フランチェスカ・ヘイワードと舞台で『ロミオジュリエット』を踊りイギリスのバレエ・ファンを魅了している。

ファースト・ソリストに昇進したメガン・グレース・ヒンキスは、演舞に長けたバレリーナでアクリ瑠嘉の相手役を務めることも多い。カルヴィン・リチャードソンは、現代作品により魅力を発揮するタイプの踊り手で、振付家ウェイン・マクレガーのお気に入り的存在。最近ではキャシー・マーストン振付『チェリスト』のセカンド・キャストのチェロ役に抜擢された。ファースト・キャストのチェロ役マルセリーノ・サンベとは対照的に、早熟の天才として一世を風靡しながら多発性硬化症のため、若くして演奏家生命を絶たれた悲運のチェロ奏者ジャクリーヌ・デュプレを、幼少時より誰よりも優しく見守り、病に侵され演奏できなくなった彼女と運命を共にし滅びてゆく楽器の精のような解釈で、観客を大きな感動で包んだ。

ソリストに昇進したジーナ・ストーム・ジャンセンは『眠れる森の美女』のリラの精が忘れがたいし、ジョゼフ・シセンズは黒人系ダンサーらしい身体能力の高さが眩しいダンサーである。

佐々木万璃子は、バーミンガム・ロイヤル・バレエより移籍直後のコール・ド・バレエ時代から、常に情感豊かに舞台を務め、昨年春のスカーレット版『白鳥の湖』再演時には、王子の妹の1人としてパ・ド・トロワに抜擢されている。

上記とは別に2021・22新シーズン(9月)付で、マヤラ・マグリとアナ・ローズ・オサリヴァンがプリンシパルに昇進する。

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佐々木万瑠子「白鳥の湖」パ・ド・トロワ
ROH2020 Photo by Angela Kase

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マヤラ・マグリ「火の鳥」
ROH2019 Photo by Angela Kase

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