淵山隼平が5位入賞!第49回ローザンヌ国際バレエコンクール・ビデオエディション

ワールドレポート/その他

香月 圭 text by Kei Kazuki

新型コロナウィルスの影響で初のオンライン開催となった第49回ローザンヌ国際バレエコンクールで、淵山隼平が5位に入賞した。2019年16歳のときにも出場しファイナリストに進出されて以来、今回は2度目の挑戦だった。歴代のローザンヌ国際バレエコンクール入賞者を輩出するアクリ堀本バレエアカデミーで学び、フロリダのハリッド・コンサヴァトリーに留学。クラシック・ヴァリエーション『パキータ』とコンテンポラリー・ヴァリエーション『A Solo for Diego ディエゴのためのソロ』(リチャード・ウェアロック振付)のいずれも細身の身体を活かした軽やかで高い跳躍で審査員や視聴者を魅了した。

2021年2月6日ファイナル(決選)入賞者

第1位 218 アントニオ・カサリーニョ António CASALINHO 17歳7か月 ポルトガル
『ダイアナとアクティオン』/『Grinding the Teeth』

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アントニオ・カサリーニョ『ダイアナとアクティオン』
©Nikita Alba/PDL2021

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アントニオ・カサリーニョ『Grinding the Teeth』
©Nikita Alba/PDL2021

第2位 226 ルカ・アブデル=ヌール Luca ABDEL-NOUR 17歳10か月 エジプト
『パキータ』/『A Solo for Diego ディエゴのためのソロ』

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ルカ・アブデル=ヌール 『パキータ』© PDL2021

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ルカ・アブデル=ヌール 『ディエゴのためのソロ』© PDL2021

第3位 118 アンドレイ・ジェズス・マシアーノ Andrey Jesus MACIANO 16歳 ブラジル
『アルレキナーダ』/『Urge』

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アンドレイ・ジェズス・マシアーノ 『アルレキナーダ』
©Cida Ladaga/PDL2021

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アンドレイ・ジェズス・マシアーノ 『Urge』
©Cida Ladaga/PDL2021

第4位 210 ヨン・ソジョン YUN Seojeong 17歳3か月 韓国
『ドン・キホーテ』パ・ド・ドゥよりキトリのヴァリエーション/『Traces』

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ヨン・ソジョン『ドン・キホーテ』© PDL2021

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ヨン・ソジョン『Traces』© PDL2021

第5位 236 淵山 隼平 Shunhei FUCHIYAMA 18歳2か月 日本
『パキータ』/『A Solo for Diego ディエゴのためのソロ』

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淵山隼平『パキータ』© PDL2021

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淵山隼平『ディエゴのためのソロ』© PDL2021

第6位 231 アシュリー・クパル Ashley COUPAL 18歳 カナダ
『ジゼル』/『Rain』

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アシュリー・クパル『ジゼル』© PDL2021

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アシュリー・クパル『Rain』© PDL2021

◆ベスト・ヤング・タレント賞
118 アンドレイ・ジェズス・マシアーノ Andrey Jesus MACIANO 16歳 ブラジル
『アルレキナーダ』/『Urge』

◆コンテンポラリー・ダンス賞
218 アントニオ・カサリーニョ António CASALINHO 17歳7か月 ポルトガル
『ダイアナとアクティオン』/『Grinding the Teeth』
241 ルイ・セザール・クルス Rui Cesar CRUZ 18歳2か月 ブラジル
『ダイアナとアクティオン』/『Rain』

◆ベスト・スイス賞
226 ルカ・アブデル=ヌール Luca ABDEL-NOUR 17歳10か月 エジプト
『パキータ』/『A Solo for Diego ディエゴのためのソロ』

◆Web視聴者賞
226 ルカ・アブデル=ヌール Luca ABDEL-NOUR 17歳10か月 エジプト
『パキータ』/『A Solo for Diego ディエゴのためのソロ』

第49回ローザンヌ国際バレエコンクールに399名(女子318名/男子81名)が応募したなかで82名(女子52名/男子30名)が第一次映像審査を通過し、棄権者4名を除いた78名(女子50名、男子28名)が本選審査の対象となった。審査員長リチャード・ウェアロックと他8名の審査員がローザンヌ・パレスに集合し、2021年2月1日から大型スクリーンでの映像審査が開始され、その模様はライブ配信された。バーやセンターでのクラス・エクササイズとクラシックとコンテンポラリーのヴァリエーションがそれぞれ3分の1という配点で、出場者が事前に提出した動画によって審査された。

2021年2月5日にセレクション(準決選)が行われ、日本から参加した10名のうち小林愛里、山本小春、淵山隼平の3名を含む20名が通過し、翌2月6日のファイナル(決選)ではクラシックとコンテンポラリーのヴァリエーションがそれぞれ2分の1の割合での採点で再度映像審査が行われた。15、16歳女子グループの出場者の多くが選択した『フローラの目覚め』(プティパ振付)を踊った小林愛里は豊かな音楽性で可憐な花の女神を体現した。山本小春は熊川哲也や高橋宏尚、宮尾俊太郎らが師事した札幌市の久富淑子バレエ研究所の出身で、現在はパリ国立音楽舞踊学校でパリ・オペラ座エトワールのイザベル・シアラヴォラのもとで学んでいる。体躯の隅々まで神経が行き届いたなめらかな動きが持ち味だ。

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小林愛里『フローラの目覚め』 © Chisato Kurotaki / PDL2021

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小林愛里『Bow』 © Chisato Kurotaki / PDL2021

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山本小春『フローラの目覚め』© PDL2021

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山本小春『Traces』© PDL2021

第1位に選ばれたのはポルトガルのアントニオ・カサリーニョ。2018年ヴァルナ国際バレエコンクールで特別賞、YAGPでも何度も優勝するなど、その実力はテクニック・表現力において他の参加者の追随を許さない。その卓越した演技において今回はコンテンポラリー・ダンス賞も受賞した。彼が所属するポルトガル・レイリアのアナレラ・サンチェス国際舞踊コンサヴァトーリオからは今年4名が出場し、男子3名がファイナルに出場した。今年のポルトガル出身者はすべてこの学校で占められた。
第2位はエジプトのルカ・アブデル=ヌールが受賞。出場者のなかでも一際長い手脚を持ち、180cmを超える長身でありながら高い柔軟性を誇る。視聴者のインターネット投票でも第1位に選ばれ、佐々木須弥奈や住山美桜が卒業したチューリヒ・ダンスアカデミーに在籍することからベスト・スイス賞も受賞した。
第3位のアンドレイ・ジェズス・マシアーノは荒削りながらエネルギッシュで高い身体能力とチャーミングな魅力が相まって将来性が高く評価され、ベスト・ヤング・タレント賞も射止めた。
第4位となったヨン・ソジョンは今年最も多く本選出場資格を得た7名のソウル芸術高校からの候補者のなかでメリハリの効いた表現力が秀でていた。
第6位のアシュリー・クパルはバンクーバー出身で日本にもルーツをもつ。YAGPでも3度優勝するなどコンクール経験は豊富で、今回も表情豊かな演技を見せた。

2021年2月5日セレクション(準決選):ファイナル(決選)進出者

107 小林 愛里 Airi KOBAYASHI 15歳4か月 日本
112 シャーロット・コーエン Charlotte COHEN 15歳8か月 オーストラリア
118 アンドレイ・ジェズス・マシアーノ Andrey Jesus MACIANO 16歳 ブラジル
123 パク・ロビン Robin PARK 16歳3か月 韓国
133 ルイザ・ファルカン Luiza FALCÃO 16歳9か月 ブラジル
135 山本 小春 Koharu YAMAMOTO 16歳10か月 日本 
204 ファン・リヤ Liya FAN YAGP2021 17歳1か月 中国
207 クォン・ジュヨン Jooyoung KWON 17歳2か月 韓国
210 ヨン・ソジョン YUN Seojeong 17歳3か月 韓国
216 ジュリオ・ディリジェンテ Giulio DILIGENTE 17歳6か月 イタリア
218 アントニオ・カサリーニョ António CASALINHO 17歳7か月 ポルトガル
219 フランシスコ・ゴメス GOMES Francisco 17歳8か月 ポルトガル
222 ロリエン・ラモ・ルイス Lorien RAMO RUIZ 17歳8か月 スペイン
223 カイケ・ノゲイラ・デ・カルヴァーリョ Kayke Nogueira DE CARVALHO 17歳9か月 ブラジル
226 ルカ・アブデル=ヌール Luca ABDEL-NOUR 17歳10か月 エジプト
228 サイード・ラモス・ポンセ Saïd RAMOS PONCE 17歳10か月 スペイン
231 アシュリー・クパル Ashley COUPAL 18歳 カナダ
232 マルティ・グティエレス・ルビ Marti GUTIÉRREZ RUBI 18歳 メキシコ
236 淵山 隼平 Shunhei FUCHIYAMA 18歳2か月  日本
241 ルイ・セザール・クルス Rui Cesar CRUZ 18歳2か月 ブラジル

今回のセレクション(準決選)で20名のファイナル枠に多く進出したのはブラジル3名、ポルトガル2名、スペイン2名、イタリア、メキシコといったラテン諸国の17、18歳の男子たちだった。決選の中継ではファイナリストたちもオンラインで審査会場と繋がり、決選の模様を視聴する様子が映し出された。それぞれの踊りが終わると拍手で互いを称えあっていた。セレクションの過程におけるクラス・エクササイズやクラシック/コンテンポラリーのヴァリエーションの模様はARTE ConcertやYouTube、Facebookで配信され、約50万回再生された。中国ではTencentで配信された。
惜しくも受賞を逃したファイナリストたちには1000スイスフラン(約11万円)が授与される。セレクション(準決選)の出場者は新たに開発されたオンライン・アプリケーションによって、提携校やカンパニーと直接連絡を取り合い、ローザンヌ国際バレエコンクールの「ネットワーキング・フォーラム」に参加することになる。
審査員のアルマンド・ブラズウェルは今年の参加者のレベルについて、コロナ禍下にもかかわらず例年以上に高かったと印象を語る。審査員長リチャード・ウェアロックや1992年ローザンヌ国際バレエコンクールのファイナリストの経験をもち英国ロイヤル・バレエでプリンシパルとして活躍したゼナイダ・ヤノウスキーなどコンクール事務局のインタビューに答えたバレエ界のリーダーたちからは、夢をあきらめずに好奇心を持ち続け、常に心を開いてあらゆる助言を受け入れて前へ進むことの大切さを説く言葉が繰り返し聞かれた。

ヤング・クリエーション・アワード Young Creation Award

若いダンサーたちに創作の機会を奨励する企画が今年初めてスタートした。18の提携校から54名(女子32名/男子22名)の応募があり、2021年2月3日に5作品が最終選考に選ばれた。入賞したのは以下の2作品である。

●サミュエル・ウィンクラー Samuel Winkler 『Suppress』(演技者:ガブリエル・バルボサ Gabriel Barbosa)ジョン・ノイマイヤー・ハンブルク・バレエスクール
●マヤ・スモールウッド Maya Smallwood『Unravel』(演技者:ユアン・ハートマン Ewan Hartman)カナダ・ナショナル・バレエスクール

この2作品は次回2022年ローザンヌ国際バレエコンクールのコンテンポラリー・ヴァリエーションのレパートリーに追加され、振付した2名はコンクールで出場者に演技指導を行うことが予定されている。
コンクール事務局長キャスリン・ブラッドニーは50回目の節目となる次回大会のファイナル(決選)について2022年2月5日スイス・モントルーのストラヴィンスキー・オーディトリアムでの開催を予告している。

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サミュエル・ウィンクラー『Suppress』を踊るガブリエル・バルボサ© PDL2021

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マヤ・スモールウッド振付 『Unravel』を踊るユアン・ハートマン© PDL2021

◆ローザンヌ国際バレエコンクール公式サイト
https://www.prixdelausanne.org/

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