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第49回ローザンヌ国際バレエコンクール・ビデオエディションの概要と審査員、生涯功労賞はウェイン・マクレガーに

ワールドレポート/その他

香月 圭 text by Kei Kazuki

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第49回ローザンヌ国際バレエコンクール・ビデオエディションの開催に先立って2020年10月末ビデオ選考により82名の通過者が発表されたが、4名が出場を辞退し、日本人10名(石川瑛也は出場辞退)を含む78名が2021年2月1日からのコンクール・ビデオエディションに参加することになった。参加者はクラシックとコンテンポラリーのヴァリエーションの演技を録画したビデオファイルをコンクール事務局にアップロードしている。

審査は年齢と性別で分けられた以下の4つのグループごとに行われる。
ジュニア(女子/男子グループA):2004年2月7日から2006年2月6日生まれ
シニア(女子/男子グループB):2002年2月7日から2004年2月6日生まれ
⚫︎2月1日(月)〜2月4日(木)審査員は、ビデオ選考のためにすでに送信されているクラシック・クラスのビデオの内容を精査し採点する。審査はグループA、グループBの順に行う。
⚫︎2月5日(金)準決選:審査員は、コンクール出場者個々のクラシックおよびコンテンポラリー・ヴァリエーションのビデオを熟視し採点をする。クラシック・クラスの審査と合わせて決選へのファイナリストが最大20名選抜される。この結果発表はオンラインで行われる。
⚫︎2月6日(土)決選:審査員はファイナリストのクラシック・ヴァリエーションとコンテンポラリー・ヴァリエーションの動画を再度視聴し採点する。2021年ローザンヌ国際バレエコンクール・ビデオエディションの受賞者は2021年2月6日(土)にオンラインで発表される。

ローザンヌ国際バレエコンクール公式YouTubeではビデオ・エディションとなった第49回大会の参加者たちのショート・メッセージ動画も掲載されている。2019年ファイナリストで今大会に出場する淵山隼平も成長した姿でメッセージを寄せている。

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ウェイン・マクレガー振付『ビカミンズス』淵山隼平/2019年ローザンヌ国際バレエコンクールにて©PDL2019_photo_gregory-batardon

 

第49回ローザンヌ国際バレエコンクールの模様は2021年2月1日(月)〜6日(土)コンクール公式サイトとドイツ=フランス共同の文化放送局アルテ・コンサートArte Concertチャンネルからライブ配信され、アーカイブ動画はローザンヌ国際バレエコンクール公式YouTubeにて視聴できる。
会期中のクラスなどのセッションや準決選の模様はジェイソン・ビーチーとシンティア・ラバロンヌ Cinthia Labaronne がライブ・レポートし、2月6日の決選はローザンヌ国際バレエコンクール事務局長キャスリン・ブラッドニーが進行役を務める。

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ウェイン・マクレガー © Pål Hansen

2月6日は決選の後、生涯功労賞授与式が行われ、ウェイン・マクレガーが登壇する予定となっている。世界各地でダンサー育成に携わるジェイソン・ビーチーによるローザンヌ国際バレエコンクールにおける近年の中継レポートでは、参加者の踊りの長所をコメントしたり関係者のインタビューが行われている。
ビーチーと共にコンクールを取材するシンティア・ラバロンヌはアルゼンチンのブエノスアイレスのコロン劇場芸術院で学び、ヴァルナ国際バレエコンクールで1990年新人賞、1992年奨励賞を受賞。バレエ・アルゼンティーノ(ディレクター:フリオ・ボッカ)、コロン劇場バレエ団を経てオーストラリアで「ヌレエフさよならツアー」に参加。18歳のときピエール・ラコットによりナンシー国立バレエのプリンシパル・ダンサーとして招かれる。2011年にはリチャード・ウェアロックの招きによりバーゼル劇場バレエへ入団。2013年よりバーゼル劇場バレエスクールのスタッフに就任。2015年以来、ローザンヌ国際バレエコンクールのリチャード・ウェアロックの課題ヴァリエーションのコーチに当たっている。

既にリチャード・ウェアロックの第49回ローザンヌ国際バレエコンクール・ビデオエディション審査員長就任についてはお伝えしたが、そのほかの審査員メンバーも発表された。
副審査員長のクレールマリ・オスタは「新世代のダンサーに希望を与え、それにより人類全体にとって実現可能な未来を築いていくこと以上に大切なことがあるでしょうか? 副委員長として第49回ローザンヌ国際バレエコンクールに参加させていただくことで、勇敢で才能ある若い人たちの具体的なお手伝いができます。ローザンヌ国際バレエコンクールはダンサーの人生にとって本当に岐路となるものです。過去出場した先輩たちが証言する通り、ローザンヌ国際バレエコンクール出場以前と以後とではガラリと人生が変わります。私が出場したのは1987年、16歳のときでセミ・ファイナリストでした。ヴィオレッタ・ヴェルディが私たちの指導にあたりましたが、彼女からは大きな刺激を受けました。後年、パリ・オペラ座バレエで彼女に再会したときは感動しました。そのとき審査員だったギレーヌ・テスマーにも再会しました。世界中からバレエに情熱を注ぐ若いダンサーたちと友達になり、その後ずっと文通を続けました(当時はFacebookやInstagramがなかったので手紙のやり取りだけでした)。後年、仕事のおかげで彼らとよく会ったものです」と語る。
今年の審査員メンバーのサミュエル・ウェルステンは「才能の育成こそローザンヌ国際バレエコンクールの本質を形作っているもので、世界で最も優れたダンサーたちを発掘する終わりなき旅なのです。教授経験の中での一番の思い出は13年間ローザンヌ国際バレエコンクールのコンテンポラリー・クラスを担当したことです。2021年開催の第49回ローザンヌ国際バレエコンクールを組織するのは特に困難を伴いました。若いダンサーたちの育成支援において想像しうる限りのあらゆる方向性が考えられますが、継続性を持たせ、この困難な時期を乗り越え未来への橋渡しをすることが今はこれまでにも増して重要だということで、幸いにもよい解決法が見つかりました」と今大会の趣旨を述べる。

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リチャード・ウェアロック ©Christian Knörr

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サミュエル・ウエルステン ©Joris-JanBos

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アルマンド・ブラズウェル ©Flavia Schaub

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クレールマリ・オスタ ©Luc Braque

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チャン・キンスン ©DR

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ミルナ・カマラ©DR

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二コラ・ル・リッシュ©DR

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イーサン・ルステム ©Ida Zenna

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サラワニー・タナタニット ©DR

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シンティア・ラバロンヌ © gregory-batardon

【第49回ローザンヌ国際バレエコンクール・ビデオエディション審査員】
◇リチャード・ウェアロック Richard Wherlock 第49回ローザンヌ国際バレエコンクール審査員長/バーゼル・バレエ監督および首席振付家
◇クレールマリ・オスタ Clairemarie Osta 第49回ローザンヌ国際バレエコンクール副審査員長/スウェーデン王立バレエ学校バレエ学科長/パリ・オペラ座バレエ 元エトワール
◇アルマンド・ブラズウェル Armando Braswell ブラズウェル・アーツセンター監督/ 第48回ローザンヌ国際バレエコンクール コンテンポラリー・ダンス教師
◇チャン・キンスン Kinsun Chan (ザンクト・ガレン・ダンス・シアター ディレクター/振付家、舞台・衣装デザイナー)
◇ミルナ・カマラ Myrna Kamara (ゲスト・アーティスト、教師/マイアミ・シティ・バレエ元プリンシパル/NYCB元ダンサー/BalletExtremeディレクター・ダンサー)
◇ニコラ・ル・リッシュNicolas Le Riche(スウェーデン王立バレエ芸術監督/パリ・オペラ座元エトワール)
◇イーサン・ルステム Ihsan Rustem(アメリカNWダンス・プロジェクト レジデント・コレオグラファー/バイエルン国立バレエ元ダンサー)
◇サラワニー・タナタニット Sarawanee Tanatanit(HOSTBKKアーツ・センター ゲスト・アーティスト&設立者/2001年ローザンヌ国際バレエコンクール入賞)
◇サミュエル・ウエルステン Samuel Wuersten(オランダ・ダンス・フェスティヴァルおよびチューリヒ芸術大学舞踊プログラム学士・修士課程ディレクター)

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ウェイン・マクレガー振付『クローマ』マルコ・マシャーリ/2020年ローザンヌ国際バレエコンクールにて
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2020年ローザンヌ国際バレエコンクールにて
© PDL2020 photo gregory batardon

ローザンヌ国際バレエコンクールでは2017年より生涯功労賞が設けられ、ローザンヌ国際バレエコンクールに招聘される熟練したダンサーと同様に、若い才能あるダンサーにも影響を与える人物のキャリアをクローズアップする。これまでジョン・ノイマイヤー、ジャン=クリストフ・マイヨー、マリシア・ハイデ、カロリン・カールソンが受賞してきた。2021年は先見の明に長け多面的なアーティストとして芸術や学術界でも称賛されるウェイン・マクレガーが選出された。2018年、ローザンヌ国際バレエコンクールはマクレガーより2つのヴァリエーション『ビカミングス Becomings』『クローマ Chroma』の提供を受け、これらは2018、2019、2020年のコンテンポラリー課題曲となった。ローザンヌ国際バレエコンクール事務局長キャスリン・ブラッドニーは「ウェイン・マクレガーはコンテンポラリー・ダンス振付家として革新的で類を見ない存在です。彼は21世紀のダンスの概念を進化させてきました。彼の豊かな独創性と才能を祝します」とコメントする。
マクレガー自身が芸術監督を務めるスタジオ・ウェイン・マクレガーは舞踊やデザイン、テクノロジーを通した肉体のインテリジェンスにおける未来を開拓するクリエイティヴ集団である。2012年ロンドン・オリンピックの会場となった東ロンドンのクィーン・エリザベス・オリンピック・パークのヒア・イーストに拠点を置き、ダンサー、作家、作曲家、科学者、ソフトウェア・エンジニアなど多方面に渡るクリエイター・ネットワークと提携しテクノロジーやヴィジュアル・アート、映画、オペラ、教育などの様々なジャンルの創造や表現・創作活動を自在に行っている。またカンパニー・ウェイン・マクレガーにはダンサーたちが所属しツアーを行っている。
英国ロイヤル・バレエのレジデント・コレオグラファーとしてマクレガーが創作してきた作品は、クラシック・バレエの身体言語を大胆に再構成した点が称賛されている。彼は2021〜2024年までヴェネツィア・ビエンナーレ舞踊ディレクターに就任する。マクレガーはトリニティ・ラバン音楽コンサヴァトワールで舞踊・振付の教授を務めている。プリマス大学、リーズ大学、チェスター大学、ロンドン芸術大学から名誉博士号を、2017年には英国学術協会の名誉フェローシップを授与された。マクレガーは英国批評家協会賞(ナショナル・ダンス・アワード)4回、タイム・アウト賞2回、サウス・バンク・ショー賞2回、オリヴィエ賞2回、ブノワ賞1回、黄金のマスク賞2回受賞している。2011年にマクレガーの舞踊分野での貢献に対しCBE(大英帝国勲章3位)が授与された。
マクレガーの作品はパリ・オペラ座バレエやアルヴィン・エイリー舞踊団、NYCB、ボリショイ・バレエ・デンマーク王立バレエ、サンフランシスコ・バレエといった世界中の主要バレエ・カンパニーのレパートリーに入っている。演劇やオペラ、映画(『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』『ファンタスティック・ビースト』シリーズ)、ミュージック・ビデオ(レディオヘッド、ケミカル・ブラザーズ)、ファッション(COSのSoma 、ロンドンとパリでのファッション・ウィークでのガレス・ピューのショー、ファッション写真家ニック・ナイトとSHOWStudio〈ファッション・フィルムWebサイト〉での活動)、キャンペーン(セルフリッジ、ブーツ No 7)、TV(ブリット・アワード, 2015, 2016)、地域限定公開パフォーマンス(ビッグ・ダンス・トラファルガー・スクエア, 2012)などの幅広い分野でも活躍を重ねている。
直近ではカンパニー・ウェイン・マクレガーで『 Living Archive』『Autobiography』を創作、初演した。イングリッシュ・ナショナル・オペラとカンパニー・ウェイン・マクレガーによる『オルフェオとエウリディーチェ』、英国ロイヤル・バレエで『Morgen』『Inferno』『Yugen(幽玄)』を、ドンマー・ウェアハウスで『Sweet Charity』、ABTで『AfteRite』、バイエルン国立バレエにて『Sunyata』、BBCパフォーマンス・ライブのために『Winged Bull in the Elephant Cace』を制作した。

◆ローザンヌ国際バレエコンクール公式サイト
https://www.prixdelausanne.org/

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