英国ロイヤル・オペラ・ハウスのシネマシーズンが上映を再開、日本人ダンサーが次々と登場する
- ワールドレポート
- ワールドレポート(その他)
掲載
ワールドレポート/その他
関口 紘一 Text by Koichi Sekiguchi
英国ロイヤル・オペラ・ハウス 2019/20 シネマシーズンは、新型コロナ感染拡大の非常事態宣言を受けて、上映を中断していたが、6月5日より「英国ロイヤル・バレエで活躍する日本人ダンサー」として、再上映作品も含めて上映を再開することが発表された。
『マノン』サラ・ラム、ワディム・ムンタギロフ
©ROH 2014. Photographed by Alice Pennefather.
『ドン・キホーテ』高田茜、アレクサンダー・キャンベル
©ROH 2019. Photo by Andrei Upenski
まず、最初に6月5日から上映されるのは英国ロイヤル・バレエのプリンシパル・ダンサーの平野亮一出演のマクミラン振付『マノン』。平野はマノンの兄、レスコー役を踊っている。マノンはサラ・ラム、デュ・グリューはワディム・ムンタギロフ、レスコーの恋人にイツァール・メンディザバル、Mr.G.M.にギャリー・エイヴィスという選りすぐりのキャストだ。(2017/18シーズンの再上映)
レスコー役の見せ場は、第2幕の高級娼館で踊る酔い乱れて他の登場人物を圧倒する演技で、ただ酔っているだけではなく、心中のやり場の無い怒りと虚しさを顕すもの。平野はこの演技で一際大きな喝采を受けた、という。近年、英国ロイヤル・バレエでの平野の活躍は目覚しい。『ロミオとジュリエット』『オネーギン』『マイヤーリング』『冬物語』などの主役を次々と踊って、大いに注目を集めている。
そして英国ロイヤル・バレエの花として、日本でも人気絶頂の高田茜が踊るキトリ。高田がアレクサンダー・キャンベルのバジルと共演した『ドン・キホーテ』が上映される。この『ドン・キホーテ』は、英国ロイヤル・バレエの元プリンシパル、カルロス・アコスタがプティパ版に追加振付を行ったもので、活気溢れる生き生きとした舞台が評判となった。また、ドリアードの女王を金子扶生、キトリの友人を崔由姫が踊っているのにも注目していただきたい(2018/19シーズンの再上映)
『眠れる森の美女』金子扶生
そして全国公開が新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて遅れていた、英国ロイヤル・バレエ、ファースト・ソリストの金子扶生がオーロラ姫を踊った『眠れる森の美女』がいよいよ上映される。
金子は入団当初から期待が大きく、2013年にはアコスタ版『ドン・キホーテ』で主役デビューしたが、その後、怪我に苦しんだ。2019年にはオーロラのデビューもすでに果たしている。今回オーロラ姫を踊ったのは、ローレン・カスバートソンの怪我のために急遽、踊ることになったのだが、このライヴビューイングはイギリス全土とヨーロッパ各地の映画館の大スクリーンで上映された。
金子が踊った『眠れる森の美女』は、プティパの振付にアンソニー・ダウエルとクリストファー・ウィールドンが追加振付を行い、当時芸術監督だったモニカ・メイソンが演出したヴァージョンである。
フロリムント王子はフェデリコ・ボネッリ、カラボスはクリステン・マクナリー、リラの精はジーナ・ストーム=ジェンセン。フロリナ姫のヤスミン・ナグディと青い鳥のマシュー・ボール、魔法の庭の精はマヤラ・マグリ(フロレスタンの姉妹も)などの注目ダンサーとともに、アクリ瑠嘉がお付きの騎士、崔由姫が黄金のつる草の精などを踊っている。
また、上映予定が変更になった『ザ・チェリスト/ダンシズ・アット・ア・ギャザリング』も、後日公開される予定。予定が決まり次第発表される。
■配給:東宝東和
■公式サイト http://tohotowa.co.jp/roh/
『ドン・キホーテ』高田茜©ROH 2014. Photo by Bill Cooper
『マノン』サラ・ラム
©ROH Photographed by Alice Pennefather
『眠れる森の美女』
『眠れる森の美女』
『マノン』ワディム・ムンタギロフ
©ROH Photographed by Alice Pennefather
『ドン・キホーテ』高田茜
©ROH 2019. Photo by Andrei Upenski
『ドン・キホーテ』 © ROH, Johan Persson, 2013
記事の文章および具体的内容を無断で使用することを禁じます。