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マッティア・センペルボーニ「ミラノで生まれ育ったホープが語る新シーズンへの抱負」

ワールドレポート/その他

インタビュー=矢沢ケイト

世界からバレエの舞台が消えた時<6>
マッティア・センペルボーニ(ミラノ・スカラ座バレエ団 /コール・ド・バレエ)=インタビュー

現在配信中(※)のミラノ・スカラ座バレエ団『海賊』でアリを踊っているマッティア・センペルボーニ。基礎に忠実でありながらダイナミックな踊りで、階級はコール・ド・バレエにもかかわらず次々と大役を射止めている。今回のインタビューでは、入団6年目の彼の目線から現在のミラノ・スカラ座バレエ団について話してもらった。

※現在、以下のリンクから視聴可能。アンナ・マリ・ホームズ版『海賊』全幕 / ミラノ・スカラ座バレエ団
https://www.raiplay.it/video/2020/03/Le-corsaire-ba9ab34c-7e9d-47fb-a496-c2e6e5fd1981.html

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『海賊』よりアリ

----イタリアでは新型コロナウイルス感染症の影響が大きいと聞いていますが、ご自身はご無事でしょうか。

はい。僕はミラノから郊外に移動していたので、大丈夫です。小さい頃よく遊んでいた親戚の家にいるので、彼らと過ごす時間ができたことも嬉しかったです。
でも実は、ちょうどもうすぐミラノに戻るんです。少しずつ外出制限が解除になると聞きました。とは言えバレエ団の再開までには時間がかかりますね。9月になってしまうのでは、と思っています。街が元の生活を取り戻しても、やっぱり大人数を一つの場所に集める劇場は、危険性が高いと僕自身も思います。数多くの死者が出てしまいましたし仕方がありません。

----現在ご自宅ではどのように過ごされていますか。

ダンサーは特に、自分たちで気をつけて体調や体型を維持しなくてはいけません。家にいるとどうしてもたくさん食べてしまうので、僕は自分でトレーニングを決めて、毎日何か必ずやると決めています。家にいる時間が増えてから、ピザやケーキを焼くことが趣味になってしまって(笑)。
バーレッスンや、ピラティス、ヨガ、筋トレもしています。でも自宅でエクササイズするのは難しいですね。僕はバーを持っていたのですが、ミラノに置いてきてしまったので、今は手元にありません。インスタグラムのライブ配信や他のオンラインストリーミングで、バレエはもちろん、他のエクササイズもするようにしています。また、毎日なるべく違う先生のクラスをとるように心がけています。練習する動きが偏らないようにするためでもあるし、こんなにいろいろなクラスを試せる機会は他にないと思うので。スタジオと同じようにはいきませんが、家でできるベストを尽くしています。また、いろいろなバレエ団の公演映像を見ることもできるので、楽しんでいます。バレエ団や政府からは、バーなどの援助は受けていません。

----ご自身のことを簡単にお話しいただけますか。

10歳からミラノ・スカラ座バレエ学校でバレエを習い始めました。僕は、生まれも育ちもミラノなので、スカラ座はずっと憧れの場所でした。ダンサーだけでなく、オペラ歌手、指揮者、どれをとっても世界最高峰が集まる劇場です。スカラ座で踊る時は、何度舞台に立っても毎回が初めてのように思えます。この劇場で拍手を浴びてきたレジェンドたちのことを思うと、歴史の重みを感じるんです。
19歳で卒業して、そのままミラノ・スカラ座バレエ団に入団して、夢が叶いました。今は24歳になりましたが、バレエ団にはとても満足しています。レパートリーも好きだし、海外ツアーもあります。アメリカ、日本、中国、オーストラリア、スペイン、他にもたくさんツアーに参加しています。

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ベジャール振付「パリのよろこび」 © Clarissa Lapolla

----ミラノ・スカラ座が公開している『海賊』では、アリを踊られていますね。

アリは僕の大好きな役です。別の公演ではランケデムも踊りましたが、アリは僕自身も好きな役だし、さらなる高みに向かって引っ張っていてくれる機会でもあります。イタリアでは毎年、世界で最も美しいくらい素敵な海の近くの街で開催される、プレミオ・ポジターノ(※)というとても重要なフェスティバルがあります。ここで2019年にアリを踊らせてもらったので、この役はとても大切な役です。

※ Positano Premia la Danza
http://www.positanopremialadanza.it/web/
イタリアの南部アマルフィ海岸沿いにあるポジターノという街の絶景に惚れ込んだレオニド・マシーンは、ポジターノに面した島ガッリ諸島として知られる島を購入。マシーンの死去以来、彼の功績を讃えたフェスティバルとして、世界中から選ばれたダンサーによる公演と表彰を行なっている。受賞者はフォンテイン他、マシーンの死後に同じ島を購入したというヌレエフにまで遡る。

----これから挑戦したい作品や役はありますか。

一番踊ってみたいのは『ジゼル』のアルブレヒト。マクミラン版の『ロミオとジュリエット』も絶対踊ってみたいし、彼の作品では『マノン』も。ノイマイヤーの『椿姫』も挑戦したいです。バランシン作品、ベジャールの『ボレロ』も。スカラ座のレパートリーは、挑戦したいものでいっぱいです!
僕自身はコンテンポラリーより古典が好きです。でも今の時代はどちらも踊れないといけないので、両方楽しんで踊るようにしています。マクレガーの『ウルフ・ワークス』を踊れたことも良い思い出です。彼が作る動きはクラシックとは大きく違うので大変でした。公演が終わってからの方が、踊れてよかったなと思えてきました。

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ヌレエフ版『眠れる森の美女』よりダイアモンドのパ・ド・ドゥ© Brescia/Amisano

----今年は芸術監督が交代する年ですね。来シーズンから就任するマニュエル・ルグリについて、どう思われますか。

彼のことは大好きです。ダンサーなら誰でも憧れると思います。僕だけでなくてバレエ団全体として彼が来てくれることを楽しみに待っているはずです。古典作品を踊る彼が好きだけれども、コンテンポラリー作品を踊っているところにも惹かれます。そして彼は、世界中のバレエにおける重要人物とつながっています。ルドルフ・ヌレエフやモニク・ルディエールなど、僕が尊敬している人たちともとても深く関わっています。
彼が改訂した『シルヴィア』全幕をミラノ・スカラ座で上演した際には、ラッキーなことに役をもらえて、マニュエルから直接指導してもらうことができました。エロスというソリストパートをもらったのですが、僕自身の解釈も入れながら役を完成させていくように導いてくれて、忘れられない経験になりました。僕たちの世代にとっては、彼からもらうアドバイスは貴重で、それによって自分たちの技術や芸術性を伸ばしていけるなんて、とても幸せなことです。
マニュエルはミラノ・スカラ座のバレエを、さらに高いレベルに引っ張ってくれると信じています。上演するレパートリーも変えてくれると思うんです。それに、若いダンサーにもたくさんチャンスを与えてくれる感じがしています。ウィーンでの10年では素晴らしい功績を残して、あのバレエ団を磨き上げましたよね。ミラノもウィーンと同じで、バレエよりオペラの方が格式高い存在なので、彼がミラノのバレエも同じように引っ張っていってくれるといいなと思います。総裁のドミニク・メイヤーとも良いパートナーだと思うので、その点でも上手くいくと思います。

----現在の芸術監督のフレデリック・オリヴィエについては、いかがでしょうか。

フレデリックは、僕がバレエ学校生だった時からみていてくれています。そして今はバレエ団で一緒なので、良い関係が築けていると思います。
彼が起こしてくれた大きな変化としては、バレエ学校の上演レパートリーがとても充実したことが挙げられます。古典作品のみならず、フォーサイス、キリアン、プレルジョカージュの作品も踊れるようになり、学校生でありながら傑作と言われる作品を踊ることができて、一つのバレエ団のようです。若いプロフェッショナルみたいな気分です。僕の在学中で思い出深いのは、ベジャールの『パリのよろこび』と、『ラ・バヤデール』です。

----最後に、日本のバレエファンの皆さんへメッセージを頂けますか。

日本で踊る度に、終演後にお客様が楽屋口で待っていてくれることがとても嬉しいです。イタリアでは出てきたら誰もいないのが普通ですから。僕の力が発揮できる演目で、日本で踊れることを心待ちにしています!

<リンク>
マッティア・センペルボーニ インスタグラム 
https://www.instagram.com/mattiasemper/

ミラノ・スカラ座バレエ団  公式サイト
http://www.teatroallascala.org/en/la-scala/theatre/ballet-company/ballet-company.html

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