ローザンヌ国際バレエコンクール「ヤング・クリエーション・アワード」創設、YAGP2020ニューヨーク・ファイナルは延期に

ワールドレポート/その他

香月 圭 text by Kei Kazuki

現在、新型コロナウィルスは世界的拡大の速度が増す一途を辿っており、世界保健機構(WHO)はこのウィルスがパンデミックの状態にあると表明した。この感染症の流行を受けて世界中であらゆる催しが中止や延期になっている。日本国内でも公演中止になったバレエ・ダンス公演が多いが、パリ・オペラ座やボリショイ・バレエ、ロイヤル・バレエ、アメリカン・バレエシアターなどの海外の主要バレエ・カンパニーの公演も軒並み中止の事態に追い込まれている。
ローザンヌ国際バレエコンクールのアワードの新設について、また、現在の国際コンクールの状況のわかっているものをお知らせしよう。

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2019年の夏季ヨーロッパ予選でマテイ・ホレレウを指導するイザベル・シアラボアラ ©Gregory Batardon

ローザンヌ国際バレエコンクール事務局は2021年度へ向けて新たな取り組みを始めた。才能ある振付家を発掘するために「ヤング・クリエーション・アワード」が創設された。応募資格者はローザンヌ国際バレエコンクール入賞者を受け入れる提携校(パリ・オペラ座バレエ学校、ワガノワ・バレエ・アカデミー、ロイヤル・バレエスクール、プリンセス・グレース・アカデミー、ジョン・クランコ・スクールなど)および提携カンパニー(Kバレエ カンパニー、英国ロイヤル・バレエ、オーストラリア・バレエ、ベジャール・バレエ・ローザンヌなど)在籍中の生徒もしくは団員であること。ローザンヌ国際バレエコンクール事務局から2分程度の課題曲5種類が出されており、そのなかから一曲を選択してソロ作品を創作する。応募受付期間は2020年5月11日〜6月13日。提出された動画の審査は7月3日。この中から5名程度が選ばれ、作品を踊るダンサー(振付者と同じ学校かカンパニー在籍であること)とともに2021年2月3日〜6日の間、ローザンヌ国際バレエコンクールに招聘され、モントルー会場の観客・審査員の前で作品を披露する。最終的に選出された2作品が2022年度のコンテンポラリー課題作品の一部となる。

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第48回ローザンヌ国際バレエコンクール授賞式前に世界初演されたマウロ・ビゴンゼッティ振付『Andante Ballabile』©Gregory Batardon

「ヨーロッパ夏予選」は2020年6月6日〜11日ローザンヌにて開催される。応募できるのはスイスおよびヨーロッパの国籍もしくは市民権保持者かつ2002年2月7日〜2006年2月6日生まれであること。2020年3月31日応募締切だったが、コロナウィルス感染拡大防止対策として世界各地で外出規制などの措置が取られている厳しい現況を鑑みて、5月31日まで応募期間が延長された。6月5日に映像審査の結果が発表され、ヨーロッパ予選参加者が選ばれる。講師は昨年に続いてイザベル・シアラボアラ(クラシック・コーチ)、クレールマリ・オスタ(女子クラシック・コーチ)、ニコラ・ル・リッシュ(男子クラシック・コーチ)、アルマンド・ブラズウェル(コンテンポラリー・コーチ)。2020年度ローザンヌ国際バレエコンクールで6位入賞したルーマニアのマテイ・ホレレウは昨年の2019年ヨーロッパ夏予選参加者だった。

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第48回ローザンヌ国際バレエコンクール授賞式で観客に挨拶するマテイ・ホレレウ ©Gregory Batardon

「スイス・ワークショップ」はスイス国籍保持者かスイスのバレエ学校で2年以上中級か上級クラスに在籍する2001年5月31日〜2007年5月31日生まれの生徒が対象。2020年5月31日 ローザンヌ・アルセニック劇場にて行われる。5月14〜18日応募受付。ジュニア(13〜16歳)・シニア(16〜19歳)それぞれ先着順25名まで受け付ける。成績次第でヨーロッパ夏予選に出場資格を得るチャンスがある。
コンクール事務局は2020年9月5、6日大阪での予選開催(6月1日応募受付開始予定)も発表している(2020年1月6日付)が、状況が刻一刻と変化していくなか、今後の情報が待たれる。

ローザンヌ国際バレエコンクール公式サイト
https://www.prixdelausanne.org/

また、YAGP(ユース・アメリカ・グランプリ)2020ニューヨーク・ファイナルは4月10日〜18日に開催が予定されていたが、新型肺炎の拡大を受けて開催を延期することがコンクール本部事務局より発表された。4月17日予定のガラ公演ではファイナリストたちに加え、ディアナ・ヴィシニョーワ、マルセロ・ゴメス、ダニール・シムキン、マリア・ホーレワなどが出演することになっていた。YAGP日本事務局ではニューヨーク本部より先んじて日本からのニューヨーク決勝への参加を見合わせることを決定していた。YAGP創設者のラリッサ・サヴァリエフは「我々はニューヨーク・ファイナルの代替案を複数検討しています。最終決定には時間を要し、情報が入るたびにそれらを精査しています。皆様にとって最良の解決策を見出すまでお待ちいただきたい」とメッセージを寄せている
2020年度最後のYAGP準決勝はトロント大会が最後となり、3月13日〜15日の3日間、予定通り行われた。

YAGP日本語サイト
https://yagp.org/japan/

ヘルシンキ国際バレエコンクールの会場であるフィンランド国立オペラ劇場では4月の公演がすべて中止となり、コンクール事務局は現在のところ予定どおり6月1日〜8日に開催するとしているが、今後の動向に注視していくとの声明を発表した。
ヴァルナ国際バレエコンクールは2020年7月1日〜15日に予定されていた第29回大会を、技術上の理由で延期することになり、今年の開催は見送られることとなった(この発表は新型肺炎感染の脅威が出現する以前のことだった)。

ヘルシンキ国際バレエコンクール公式サイト
http://ibchelsinki.fi/news/#

(この記事は2020年3月18日に公演の中止に関する事項を更新しました)

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