第48回ローザンヌ国際バレエコンクール―プリンセス・グレース・アカデミーが三連覇!松岡海人はファイナリストとして健闘

ワールドレポート/その他

香月 圭 text by Kei Kazuki

PDL2020_photo_gregory-batardon_MF6A0394webfacebook.jpg

優勝したマルコ・マシャーリ © gregory-batardon

第48回ローザンヌ国際バレエコンクールは例年の開催地ボーリュ劇場が改修中のため、レマン湖東部の街モントルーのオーディトリアム・ストラヴィンスキーで開催された。
第一位となったのは、モナコ王立プリンセス・グレース・アカデミーで学ぶイタリア出身のマルコ・マシャーリ。『眠れる森の美女』デジレ王子のバリエーションを優雅に踊り、ウェイン・マクレガー『クローマ』では柔軟な体躯を活かした抒情性が際立っていた。2年前のシェイル・ワグマン、昨年のマッケンジー・ブラウンに続いてプリンセス・グレース・アカデミー出身者が三年連続して優勝した。
日本から決勝に進んだのは愛媛バレエアカデミーの中学3年生、松岡海人。『アルレキナーダ』の道化で正確なテクニックを印象付けた。入賞は逃したが、世界のバレエ教育関係者への訴求力は極めて高かった。入賞しなかった決勝参加者へは奨励金1,000スイスフランが授与される。

PDL2020_photo_gregory-batardon8D1A3110webfacebook.jpg

第2位 アヴァ・アーバックル『フローラの目覚め』© gregory-batardon

PDL2020_photo_gregory-batardon8D1A4792webfacebook.jpg

第3位 ジュアン・ヴィトール・サンタナ『パキータ』グラン・パよりバリエーション© gregory-batardon

PDL2020_photo_gregory-batardon8D1A5531webfacebook.jpg

第1位 マルコ・マシャーリ『クローマ』(© gregory-batardon

◆第48回ローザンヌ国際バレエコンクール入賞者(数字はゼッケン番号)
第1位 406 マルコ・マシャーリ Marco MASCIARI イタリア 17歳7か月 プリンセス・グレース・アカデミー
第2位 102 アヴァ・アーバックル Ava ARBUCKLE アメリカ 15歳1か月 エリート・クラシカル・コーチング
第3位 407 ジュアン・ヴィトール・サンタナ João Vitor SANTANA ブラジル 17歳7か月 エリート・クラシカル・コーチング
第4位 307 チャン・リン Lin ZHANG 中国 17歳4か月 北京中等付属学校
第5位 112 カン・チェヨン Chaeyeon KANG 韓国 15歳11か月 イェウォン学校
第6位 421 マテイ・ホレレウ Matei HOLELEU ルーマニア18歳11か月 バーゼル劇場バレエスクール
第7位 203 ヴィトール・アウグスト・ヴァズ Victor Augusto VAZ ブラジル 15歳3か月 ゴイアス工科大学バジレオ・フランサ芸術学校
第8位 312 ワン・ユーイェン Yuyan WANG 中国 17歳8か月 北京中等付属学校
◆その他の賞
・ベスト・ヤング・タレント賞 102 アヴァ・アーバックル Ava ARBUCKLE アメリカ
・コンテンポラリー賞 406 マルコ・マシャーリ Marco MASCIARI イタリア
・ベスト・スイス賞 421 マテイ・ホレレウ Matei HOLELEU ルーマニア
・WEB観客賞 312 ワン・ユーイェン Yuyan WANG 中国
・観客賞 316 カタリナ・ピレス Catarina PIRES ポルトガル 17歳11か月 チューリヒ・ダンスアカデミー

PDL2020_photo_gregory-batardon8D1A3481web.jpg

『アルレキナーダ』松岡海人© gregory-batardon

84名の本選への選抜者のうち、7名が棄権し、参加者は77名だった。日本出身で本選出場資格を得た13名のうち石井潤は学校のスケジュールの都合で欠場した。また準決勝前日2月6日に山田ことみはコンテンポラリーのクラスで爪先を負傷し準決勝を棄権した。
決勝進出者は15、16歳女子6名(25名中)、15、16歳男子6名(9名中)、17、18歳女子6名(25名中)、17、18歳男子3名(22名中)の21名だった。
中国の武漢で発生した新型コロナウィルス流行の影響はこのコンクールにも及んだ。中国東北部の遼寧バレエ学校の生徒たちは遼寧省内での公共施設の閉鎖・交通機関の運休など感染拡大を阻止するための措置に従い、モントルーでの本選出場を見合わせた。またコンクール事務局では中国と香港から渡航したコンクール参加者に対してウィルス検査を実施し、開会式でも参加者に対してこの感染症に対する注意を喚起した。しかしながら、この苦境を乗り越えた中国・香港の参加者のうち今年は2名が入賞する快挙となった。
次年度には2020年9月5、6日に日本予選が大阪にて予定されている。予選で選ばれた数名が無料で第49回ローザンヌ国際バレエコンクール本選に招待される。オンライン応募開始は2020年6月1日。

◆ローザンヌ国際バレエコンクール公式サイト
https://www.prixdelausanne.org/

PDL2020_photo_gregory-batardon_077web.jpg

女子のバレエ・クラス© gregory-batardon

PDL2020_photo_gregory-batardon_156web.jpg

男子のバレエ・クラス© gregory-batardon

記事の文章および具体的内容を無断で使用することを禁じます。

ページの先頭へ戻る