英国ロイヤル・バレエのライブ・シネマで上映される『眠れる森の美女』のオーロラ姫を金子扶生が踊った!

ワールドレポート/ロンドン

アンジェラ・加瀬  Text by Angela Kase

英国ロイヤル・バレエは、11月7日〜1月16日まで本拠地コヴェントガーデンのロイヤル・オペラハウスで『眠れる森の美女』を公演した。最終日1月16日はイギリス国内とヨーロッパ各国の指定映画館に公演をライブ中継するライブ・シネマも行われた。
当初この日の配役はプリンシパルのローレン・カスバートソンがオーロラ姫を、フェデリコ・ボネッリがフロリムンド王子を踊る予定であった。しかし、1月11日も同じ配役で公演が行われ、カスバートソンが公演中にケガをするハプニングがあり、3幕「オーロラの結婚」のみ当日リラの精を踊っていたファースト・ソリストの金子扶生が代役に入り公演を締めくくった。
カスバートソンのケガは軽く、本人がインスタグラムを通じてファンに最終日は舞台をつとめたい旨のメッセージを公開したことから、バレエ・ファンも金子自身も当日まで予定通りの配役で公演が行われるものと思っていたが、やはり結局、金子がオーロラ姫を踊ることになった。金子に全幕代役の打診がなされたのは当日の午後であったという。

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© ROH, 2019 Photo by Helen Maybanks

金子扶生は2008年のヴァルナ国際バレエコンクールで金賞を受賞。翌2009年のモスクワ国際バレエコンクールと2010年の米ジャクソン国際コンクールで銀賞を受賞し、2011年に英国ロイヤル・バレエ団に入団。
美貌と演技力、優れた舞踊技術で入団直後より頭角を現し関係者やファンから大きな期待を寄せられていたが、左右の膝の怪我と手術、再手術やリハビリのため、2度にわたり長期間舞台から離れていたことがあった。
今シーズンの『眠れる森の美女』全幕は、昨年11月にリース・クラークを相手役にデビュー。2人は高田茜と平野亮一組の降板に伴う代役もつとめ、英国の舞台批評家からも高く評価されていた。
金子扶生は16日もフェデリコ・ボネッリを相手役に全幕を踊った。パートナーリングを得意とするベテランのボネッリと共に素晴らしいパフォーマンスを見せた。そしてライブシネマの司会と解説を務め、今回の『眠れる森の美女』の再演にあたってはオーロラ姫の指導者でもあるダーシー・バッセルにも絶賛された。

ライブ・シネマでは舞台の開始前や幕間に主演ダンサーのインタビューやリハーサル風景などが見られる。当日の2度目の幕間には、10月の世界バレエ・デイで紹介されたダーシー・バッセルと芸術監督のケヴィン・オヘアが、金子にローズ・アダージョの稽古をつける様子が映し出され、映画館に集まったバレエ・ファンたちの目を楽しませた。この金子とボネッリの主演の『眠れる森の美女』は、日本の映画館でも上映が予定されている。
公式サイト:tohotowa.co.jp/roh

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