水谷実喜が本拠地ヒポドローム劇場でリーズ役デビュー、バーミンガム・ロイヤル・バレエ『リーズの結婚』

ワールドレポート/ロンドン

アンジェラ・加瀬  Text by Angela Kase

バーミンガム・ロイヤル・バレエ『リーズの結婚』

Birmingham Royal Ballet " La Fille Mal Gardee"

バーミンガム・ロイヤル・バレエは、9月26日に本拠地バーミンガム・ヒポドローム劇場で新バレエ・シーズンの幕を開けた。開幕作品は5月の日本公演で披露した『リーズの結婚』。シーズン初日の配役は平田桃子のリーズとマティアス・ディングマンのコーラスであった。
2日目9月27日(昼)には、バレエ団期待のファースト・ソリスト水谷実喜がリーズ役で全幕デビュー。相手役はオーストラリア人ソリストのラクラム・モナハンである。
当日の舞台を観に秋晴れのバーミンガムに向かった。
水谷は15歳で挑戦したローザンヌ国際バレエコンクールで3位を受賞。スカラシップを使ってイギリス、ロンドンのイングリッシュ・ナショナル・バレエ団の付属校であるイングリッシュ・ナショナル・バレエ・スクールに留学。在学中にバーミンガム・ロイヤル・バレエ(BRB)に送ったダンス映像がバレエ団の副芸術監督マリオン・テイトに認められ2012年にBRBに入団している。
確かなダンス技術と共にバレエ学校時代より女優バレリーナとして知られ、その才能がBRB入団後大きな花を咲かせた。そんな水谷については、バレエ団との日本公演の兵庫での『眠れる森の美女』全幕主演やバレエ団が休みの夏に日本で行われた数々の公演、およびチャコットのトーク・ショーなどでご存知の方も多いと思う。

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Miki Mizutsni Photograph by Bill Cooper

9月27日(昼)のヒポドローム劇場は、ほぼ満席。当日は周りを固める配役も素晴らしく、シモーネ未亡人は精鋭ジェイムス・バートン、アラン役は台湾出身のワンダーボーイ周子超(チョウ・ツチャオ)が踊った。

水谷は1幕の登場直後から得意の演技で観客の心を掴み。モナハンとピンクのリボンを使ってのあやとりを見せるパ・ド・ドゥも見事に決まり、その後の収穫の祭りの場面の数々の跳躍を含むソロ、クライマックスの結婚のパ・ド・ドゥも美しくまとめて見せ、デビュー公演とは思えない充実した舞台を披露した。コーラスが家に忍び込んできているとは知らず、彼との結婚や幸せな家庭生活を夢見るマイムと、その後にコーラスに見られていたと知って泣きべそをかく場面は、水谷ならではの非常に楽しいものとなり、観客は主役を演じ踊る愛らしい日本人バレリーナに大いに感情移入した様子。クライマックスの場内には観客の手拍子が響き渡り、カーテンコールでは舞台を満喫したバーミンガムの観客から大きな喝采が送られた。

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